研究課題/領域番号 |
22K09213
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中澤 務 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00772500)
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研究分担者 |
松田 良介 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (60453164)
西村 文彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70433331)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / NK細胞 / CRISPR/Cas9 / HIF1α |
研究実績の概要 |
本研究の目的はチェックポイント分子HIF-1α遺伝子をCRISPR/Cas9で破壊したゲノム編集NK細胞を体外で誘導し、膠芽腫に対する抗腫瘍効果の解析や臨床応用に寄与できる細胞特性解析を行うことである。 本年度は以下の実験を行った。 ①guide RNAの設計:HIF-1α遺伝子のゲノム編集に必要な2種類のguide RNAを設計し、同時にそのオフターゲット配列の候補も3種類程度予測した。 ② ゲノム編集NK細胞の誘導:末梢血単核細胞よりT細胞を除去後、7日間培養。培養後のNK細胞にguide RNA/Cas9複合体を導入し、NK細胞の増殖率を評価した。 ③ ゲノム編集効果の検証:培養後のゲノム編集NK細胞のHIF-1αの発現阻害効果をウェスタンブロット法を用いて検証した。また、PCR法を用いてゲノムDNAに対するオンターゲット、オフターゲット効果を確認した。 ④ ゲノム編集NK細胞の網羅的遺伝子発現解析:ゲノム編集後に目的以外の遺伝子の発現に影響があるかどうかを確認するために、NK細胞に発現する活性化受容体やチェックポイント受容体の発現解析を行うためのデータ取得を行った。現在、Clariom SによるマイクロアレイとTAC (Transcriptome Analysis Console)を用いて遺伝子発現解析、KEGGパスウェイ解析、DAVIDやGSEAによるエンリッチメント解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は経学通りに以下の実験を行う予定である ④ ゲノム編集NK細胞の網羅的遺伝子発現解析:Clariom SによるマイクロアレイとTAC (Transcriptome Analysis Console)を用いて遺伝子発現解析、KEGGパスウェイ解析、DAVIDやGSEAによるエンリッチメント解析を実施する。 ⑤ in vitro抗腫瘍効果解析:ゲノム編集NK細胞の膠芽腫細胞株(T98G、U251MG) に対する増殖抑制効果をRTCADP(ACEA社)を用いて評価する。測定後の上清中のサイトカインをELISA法で解析する。 ⑥ 高度免疫不全マウスを用いたゲノム編集NK細胞の抗腫瘍効果解析:ヒトNK細胞やヒト膠芽腫細胞を効率的に生着させるために高度免疫不全NOGマウスを用いる。ヒト膠芽腫細胞U87MGをNOGマウスの脳内に移植し、ゲノム編集NK細胞を同所性に投与する。生存期間やmicro CT による腫瘍量の測定、腫瘍の組織学的評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進み、マイクロアレイ解析まで行い始めたため。
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