研究課題
がんの再発や転移の原因として、がん幹細胞の存在が注目されている。がん幹細胞は、自己複製能と通常のがん細胞への分化能を備え、治療に抵抗性を示す。そのため、がん幹細胞を標的とした治療薬の開発が世界中で行われている。脳転移巣には脳指向性をもつがん幹細胞が集積している。アンメット・メディカル・ニーズが高い転移性脳腫瘍に対する新たな治療法の開発が望まれている。ペプチドワクチン療法は、免疫アジュバント、Tリンパ球を誘導させる手法、免疫の効果判定などの基盤的な技術開発が急速に進んでいる。脳腫瘍に対する免疫療法は相当数の臨床試験が行われている。しかしながら、EGFRvIIIペプチドワクチン療法は、EGFRvIII陽性の初発悪性グリオーマに対する第III相臨床試験において、全生存期間を延長できなかった。このように、ペプチドワクチンが標準化されていないため、開発が困難になっている。本研究は、新たなネオアンチゲンを探索し、がん幹細胞に特異的なネオアンチゲンとしてUBE2Tを同定した。さらに、遺伝子解析の探索範囲を広げ、新たに7種類のネオアンチゲンを見いだした。以上の成果を踏まえて本研究は、免疫組織化学法を用いて、転移性脳腫瘍由来のがん幹細胞におけるネオアンチゲンの発現を調べた。その結果、3種類のネオアンチゲンが細胞膜に分布していた。これらのネオアンチゲンは、転移性脳腫瘍の診断や治療の標的になる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
がん幹細胞に特異的なネオアンチゲンを複数同定した。
以上の成果を踏まえて、転移性脳腫瘍の病理組織標本を用いて、ネオアンチゲンの発現を評価する。
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(抗体など)に充当する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件)
British Journal of Neurosurgery
巻: Online ahead of print ページ: 1~5
10.1080/02688697.2023.2283129
巻: 37 ページ: 1753~1756
10.1080/02688697.2021.1900782
Child's Nervous System
巻: 39 ページ: 1603~1610
10.1007/s00381-023-05900-9
巻: 39 ページ: 1261~1266
10.1007/s00381-023-05835-1