研究課題
膠芽腫に対する腫瘍特異的な抗原を同定し、その抗原を用いたCAR-T細胞療法への応用を目指す本研究において、本特別研究員は本年度、着実に研究を遂行できたと考える。本年度、膠芽腫の患者由来初代培養株をBALB/cマウスに免疫させ、膠芽腫特異的な抗体を作成するハイブリドーマ法を用いたうえで、ハイブリドーマの候補株を25,000株以上作成することに成功した。これらハイブリドーマの候補株の中から膠芽腫細胞には発現するが、非腫瘍性の細胞には発現しない有望な株を約30株選別し、これらの株を用いて、膠芽腫特異的抗原の同定を試みた結果、本年度終了時点で、2株の新規抗原の候補を同定することができた。さらに以前同様の手法を用いて同定した抗原であるB7-H3を用いたCAR-NK細胞療法の開発の試みも開始しており、B7-H3を標的とするCAR-NK細胞の作製を開始している。今後も引き続き抗原同定の試みを継続していくと同時に、同定し得た新規抗原を標的としたCAR-T細胞療法の開発に向けた、in vitro、in vivoの検討を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は膠芽腫に対する腫瘍特異的な抗原を同定する試みをハイブリドーマ法を用いて行ったが、ハイブリドーマの候補株を25,000株以上作成することに成功した。またこれらのハイブリドーマの中から膠芽腫細胞には発現するが、非腫瘍性の細胞には発現しない有望な株を選抜することにも成功し、こうした株、約30株のうちで、2株の新規抗原の候補を同定するという成果を上げることができた。本年度の研究計画としては予定通り進んでいると考えている。
今年度は昨年度同定した腫瘍特異的として有望な約30株について、引き続き抗原同定の試みを継続していくと同時に、同定し得た2つの新規抗原を標的としたCAR-T細胞の作成を行い、治療効果がみられるかについてin vitro、in vivoでの検討を行うことを計画している。in vitro、in vivoでの効果が得られれば、こうした抗原を標的としたCAR-T細胞療法の臨床応用に向けた検討を行うことを計画している。
当初計画していた旅費の費用が本年度は当初の予定よりも低くなった。また研究試薬も部分的に他財源からの支出を行った結果、当初の計画よりも少ない額での使用となった。次年度は他財源からの支出は難しくなることが予想されるため、当初の計画に沿った形で使用することを計画している。
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Neuro-Oncology Advances
巻: 5 ページ: vdac177
10.1093/noajnl/vdac177