研究実績の概要 |
前年度はまず当研究室で樹立済みの患者由来膠芽腫細胞をC57BL/6マウスの足底部に移植し、その後マウスのリンパ節を摘出した。摘出したリンパ節よりリンパ球を抽出し、その後ミエローマ細胞と融合させることでハイブリドーマを作成した。その後作成したハイブリドーマが産生する抗体にanti-mouse phycoerythrin(PE)抗体を結合させて、膠芽腫細胞と結合する抗体をflow cytometryを用いてスクリーニングを行った。一方スクリーニングで同定された膠芽腫細胞と結合する抗体の中から、頭蓋内非腫瘍性病変(てんかんなど)にて手術を施行された患者の摘出組織を用いて、非腫瘍性組織には結合しない抗体を同定し、膠芽腫特異的に発現する抗体の候補を同定した。結果、B7-H3,PTGFRNという抗体が膠芽腫に特異的に発現していることを見出した。(Nakagawa T, Kijima N, et al. Neurooncol Adv. 2022, Kuroda H, Kijima N, et al. 投稿中) 次にB7-H3およびPTGFRNに対するCAR-T細胞の作製を行った。その後in vitroで患者由来膠芽腫細胞とCAR-T細胞を共培養し、殺細胞効果があるかについての検討を行ったところ、T細胞活性化に関与するIL-2やIFN-gammaといったcytokineが著明に増加していることが分かった。一方患者由来膠芽腫細胞を移植したマウスにCAR-T細胞およびコントロールのT細胞の投与を行ったところ、CAR-T細胞投与群で明らかな抗腫瘍効果を認めることができた。
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