• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

ICG蛍光造影法を用いた下垂体機能の術中モニタリング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09242
研究機関順天堂大学

研究代表者

寺本 紳一郎  順天堂大学, 医学部, 助教 (60854677)

研究分担者 近藤 聡英  順天堂大学, 医学部, 教授 (70338359)
田原 重志  日本医科大学, 医学部, 准教授 (80277540)
後藤 広昌  順天堂大学, 医学部, 准教授 (90622746)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードICG蛍光輝度解析 / 下垂体機能 / 術中モニタリング / 内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術
研究実績の概要

本研究の目的は、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術において、下垂体腫瘍摘出後に残存する正常下垂体に対しICG蛍光造影法を行い、下垂体が表すICG蛍光輝度は下垂体血流を反映すると仮定し、そのICG蛍光輝度を定量化することで、下垂体予備能を予測することである。故に、ICG蛍光輝度の測定は重要であり、2023年度はICG投与プロトコルを確立した。ICG投与手順は、内視鏡下で下垂体腫瘍摘出後にICG 25mgを蒸留水10mlに希釈し、体重あたり0.1mg/kgの投与量で静注。そしてICG静注後に生理食塩水20mlを後押しで静注して、これらの作業を30秒以内に行う。術中ICG投与の作業は麻酔科医に行って頂くため、麻酔科医にも安全なICG容量で、ICG投与操作も滞りなく行えることを確認している。また、ICG蛍光内視鏡を設置する位置は当初の研究計画的には蝶形骨洞前面に統一する予定であったが、蝶形骨洞の大きさや腫瘍サイズにより、残存する正常下垂体とICG蛍光内視鏡スコープの距離が症例によって異なるため、ICG蛍光造影剤の輝度測定が一定にならないことがあると考えられた。そのため、最もクリアにICG蛍光輝度が描写される方法を検討し、結果的に画質が落ちる可能性を排除するため光学ズーム機能は使用せず、等倍率で画面全体に正常下垂体が入る位置にスコープを設置する方針とした。
現在は、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出後に、内視鏡スコープをICG蛍光用に変更し、正常下垂体が当倍率で全面に入るようにスコープを設置後、麻酔科医にICG投与を行って頂き、正常下垂体のICG蛍光輝度がクリアに描出されることを確認するところまで実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究において、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出後の正常下垂体におけるICG蛍光輝度のクリアな描出は非常に重要である。しかしながら、当初の研究計画的には蝶形骨洞前面に統一する予定としていたが、症例により蝶形骨洞の大きさや腫瘍サイズが異なるため、残存した正常下垂体とICG蛍光内視鏡スコープの距離が様々であることが判明した。これは、ICG蛍光造影剤の輝度測定が一定にならない可能性があると考えられたため、最もクリアにICG蛍光輝度が描写される方法を検討することに時間を要した。
結果的には、画質が落ちる可能性を排除するため光学ズーム機能は使用せず、等倍率で画面全体に正常下垂体が入る位置にスコープを設置する方針としている。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進方策としては、術中にICG蛍光造影剤により描写された正常下垂体にRegion of interest(ROI)を設定し、近赤外蛍光観察カメラシステムを使用して、ICG蛍光輝度のピークタイミングの追跡および計測を行う。正常下垂体のICG蛍光輝度変化は、両側の内頚動脈の発光を確認できれば下垂体灌流が始まったと判断して、その時点を計測開始とする。そして、最高輝度(Imax)、最高輝度の半分量に到達するまでの時間(T1/2)、最高輝度に到達するまでの時間(Tmax) を基準に、ICG蛍光輝度-時間曲線を作成し、ICG蛍光輝度-時間曲線のT1/2とTmaxのAUCは下垂体機能の光学的な定量評価として算出する。
ICG蛍光輝度測定により、下垂体機能の光学的な定量評価が可能になった後は、下垂体ホルモン分泌能とICG蛍光輝度の定量評価の相関確認を行うため、術前に内分泌負荷試験を行い、対象患者が下垂体機能低下症ではないことを確認した上で、術後の内分泌負荷試験で、副腎皮質機能、甲状腺機能、性腺機能、成長ホルモン分泌機能を評価して、各々のホルモン分泌機能の判定結果と、T1/2およびTmaxのAUCに相関関係があるか解析する。さらに解析が進められる場合は、相関関係を認めた下垂体ホルモンのT1/2とTmaxのAUCからカットオフ値を導き出し、術後のホルモン分泌能を判別する指標を決定する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に近赤外蛍光観察カメラシステムを購入し、ICG蛍光内視鏡で描写された正常下垂体におけるICG蛍光輝度のピークタイミングの追跡および計測を行う予定であったが、ICG蛍光輝度が最もクリアに描出できるICG蛍光内視鏡スコープの位置設定を検討することが必要で、その検討期間に時間がかかり、結果的に近赤外蛍光観察カメラシステムを購入できなかったため、2023年度に未使用額が生じた。現在はICG蛍光内視鏡スコープの位置設定が定まったため、今年度は近赤外蛍光観察カメラシステムを購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Exploring endocrinological pitfalls in pituitary surgery in the elderly2023

    • 著者名/発表者名
      Teramoto Shinichiro、Tahara Shigeyuki、Fukuda Izumi、Hattori Yujiro、Kondo Akihide、Sugihara Hitoshi、Morita Akio
    • 雑誌名

      Heliyon

      巻: 9 ページ: e17060~e17060

    • DOI

      10.1016/j.heliyon.2023.e17060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessment of anterior pituitary reserve capacity based on growth hormone response to growth hormone-releasing peptide-2 test in the elderly2023

    • 著者名/発表者名
      Teramoto Shinichiro、Tahara Shigeyuki、Hattori Yujiro、Kondo Akihide、Morita Akio
    • 雑誌名

      Growth Hormone & IGF Research

      巻: 71 ページ: 101545~101545

    • DOI

      10.1016/j.ghir.2023.101545

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi