研究実績の概要 |
2023度、合成・調製に成功した各ホウ素含有新規イオン液体(BPA in IL)を用いて、細胞毒性試験および薬物動態試験を行った。 細胞毒性試験:V79 379細胞を96well plate に24時間、CO2インキュべーターで前培養した後、各サンプルを10uLずつ加えCO2インキュべーターでさらに24時間培養した。培地を除去した後、CCK-8と培地の混合液を加えてCO2インキュベーター内で2時間培養後、プレートリーダーで450nmにおける各wellの吸光度を測定した。結果、各BPA in ILの細胞毒性(IC50)は、BPA-Fructose complexよりも極めて低いことを確認した。 薬物動態試験:担癌マウスにBPA in ILを24mg B/kg (4800ppm, 100uL/20g) で尾静注により投与後、各群において各時間 (0.25, 1, 1.5, 2, 3, 6 hour) で無作為に選出し、採血および組織 (腫瘍、肝臓、腎臓、脳、皮膚、腫瘍部位対側の筋組織、脾臓) を摘出した。さらに、灰化法 (硝酸800uLを加え、115℃で1.5時間加熱) で液状化させたものをサンプル溶液とし、ICP-AESで組織内ホウ素濃度を測定した。結果、投与直後 (15min) において腎臓にホウ素が集積することを確認した 。また、ILに溶解させたBPAは時間経過とともに腫瘍へ貯留していかないことを確認した。腫瘍内ホウ素濃度はBNCT用薬剤の目安となる25ppm以上を達成できなかったが、投与後6時間においてT/N ratio >2.5は達成した。 2024度はこれらのBPA in ILに関して、中性子線照射による殺細胞効果および抗腫瘍効果を確認する。
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