研究課題/領域番号 |
22K09247
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
磯貝 恵理子 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 上席研究員 (40300917)
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研究分担者 |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 部長 (40303119)
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 研究員 (80584680)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Meis1 / 脳腫瘍 / 悪性化 |
研究実績の概要 |
Meis1は表皮幹細胞の維持に働くことが示されていたことから、神経幹細胞でCreを発現するNestin-CreマウスとMeis1コンデイショナルノックアウトマウスとの交配を行った。しかしながら、Nestin-Cre陽性かつMeis1floxアレルホモのマウスが得られず、胎生致死の可能性も示唆された。交配を進めると若干、ホモ個体は少ないものの、生まれることはわかった。生まれた個体は野生型に比べてサイズが小さく、水頭症を発症していることがわかった。さらに大脳皮質の層構造に異常を来していることがわかった。ホモ個体は皮質が薄く、Pax陽性の放射状グリア細胞が減少していることがわかった。Tbr陽性中間前区細胞とNeuN陽性分化神経細胞は減少していなかった。切断型カスパーゼ3抗体で検出される細胞死にもノックアウト胚と野生型胚の間で大脳皮質に差は見られなかった。さらに市入内エレクトロポレーション法でMeis1をin vivoでノックアウトした肺では、大脳皮質の発達過程で細胞の移動の阻害が見られた。引き続き、Meis1を過剰発現させたマウスNEC4C神経前区細胞株をマウスの頭蓋内に移植することにより、Meis1が悪性腫瘍の発生に関与するかどうかの検討を行った。腫瘍の免疫染色を行うと、Meis1陽性細胞ではIba1陽性ミクログリア細胞の浸潤、Ki67陽性細胞の増加、血管新生を示すCD31陽性血管内皮細胞の増加、MUC1(mucin1)陽性細胞の増加が有意に検出された。これらの結果は、Meis1が脳腫瘍の悪性化を促進することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nestin-Cre特異的にMeis1ノックアウトマウスの表現型を解析し、引き続き、in vitro electroporationを行い、大脳皮質の発生器、特に胎生13.5日前後の細胞の挙動を観察し、Meis1を強制発現させた細胞をマウスの頭蓋内に同所性移植を行うというのが当初の計画でったが、ほぼその計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
マウスや移植した腫瘍の表現型の解析をさらに行うと同時に、腫瘍由来のRNAのRNAシーケンスを行い、どのような経路や遺伝子がMeis1と共に機能しているのか詳細な解析を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの交配、維持、移植実験等、動物施設内で行った実験が多かったが、千葉県がんセンターでは動物施設使用料が無料なため、そのための経費を支払う必要がなかった。また、抗体等の試薬類は手持ちのものでまかなうことができたため、次年度使用額が生じた。
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