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2023 年度 実施状況報告書

ゲムシタビンを基軸とした高悪性度髄膜腫に対する新規化学療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09250
研究機関山形大学

研究代表者

吉岡 孝志  山形大学, 医学部, 教授 (90271981)

研究分担者 鈴木 修平  山形大学, 医学部, 助教 (90637175)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード悪性脳腫瘍
研究実績の概要

高悪性度髄膜腫はしばしば再発をきたし予後不良となるが、現状の標準治療は外科切除、放射線治療に限られるため有効な化学療法の開発が切望されている。申請者らは世界に先駆けて高悪性度髄膜腫が代謝拮抗薬ゲムシタビンに極めて高感受性であること見出し、さらにその高感受性の分子機序を明らかにした。本課題はこれらの知見に基づき、ゲムシタビンを基軸とした高悪性度髄膜腫に対する化学療法を確立することを目的に様々な角度から検討を行っている。今回申請者らはゲムシタビンの増殖抑制効果がp53依存的であること、また、高悪性度髄膜腫を含め多くの髄膜腫においてp53遺伝子に変異が見られない(野生型である)ことに着目し、野生型p53活性化薬が高悪性度髄膜腫のゲムシタビン感受性を高めることができるのではないかと考えた。そこでp53の機能制御・発現に関わる種々の分子について検討を試みたところ、野生型p53の機能抑制に重要な役割を果たすMDM4が髄膜腫において悪性度依存的に高発現していることが明らかとなった。そこで申請者らが独自にMDM4抑制作用を見出していた小分子キナーゼ阻害薬CEP1347の効果を検討したところ、CEP1347が高悪性度髄膜腫細胞においてp53を活性化し増殖を抑制することが判明した。加えて、MDM4とともにp53の機能抑制に重要な役割を果たすMDM2に対する阻害薬をCEP1347と併用したところ、正常細胞には毒性を示すことなく高悪性度髄膜腫細胞に対しては相互協調的なp53活性化・増殖抑制効果が得られることが明らかとなった。以上の申請者らの成果から高悪性度髄膜腫細胞においては野生型p53自体がよい治療標的となることが初めて明らかとなった。今後は下記の通りゲムシタビン感受性との関連について検討を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゲムシタビン感受性に関与することが知られているp53を高悪性度髄膜腫において効率よく活性化するための新規薬剤とその組み合わせを見出すことに成功し、それらのみでも一定の治療効果が期待できることを明らかにし論文として公表することができたため。

今後の研究の推進方策

今後はゲムシタビンの高悪性度髄膜腫細胞に対する増殖抑制効果におけるp53の役割を明らかにするとともに、上記p53活性化薬とゲムシタビンの併用効果についての検討を予定している。

次年度使用額が生じた理由

実験結果を基に研究計画を弾力的に調整したため次年度使用額が生じました。今後の実験計画と適に調整し計画して使用していく予定です。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] The Novel MDM4 Inhibitor CEP-1347 Activates the p53 Pathway and Blocks Malignant Meningioma Growth In Vitro and In Vivo2023

    • 著者名/発表者名
      Mitobe Yuta、Suzuki Shuhei、Nakagawa-Saito Yurika、Togashi Keita、Sugai Asuka、Sonoda Yukihiko、Kitanaka Chifumi、Okada Masashi
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 11 ページ: 1967~1967

    • DOI

      10.3390/biomedicines11071967

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Antagonizing MDM2 Overexpression Induced by MDM4 Inhibitor CEP-1347 Effectively Reactivates Wild-Type p53 in Malignant Brain Tumor Cells2023

    • 著者名/発表者名
      Mitobe Yuta、Suzuki Shuhei、Nakagawa-Saito Yurika、Togashi Keita、Sugai Asuka、Sonoda Yukihiko、Kitanaka Chifumi、Okada Masashi
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 15 ページ: 4326~4326

    • DOI

      10.3390/cancers15174326

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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