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2022 年度 実施状況報告書

脊髄損傷後の歯髄幹細胞治療の作用機序の解明と更なるadjuvant治療の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K09269
研究機関愛知医科大学

研究代表者

大須賀 浩二  愛知医科大学, 看護学部, 教授 (40378013)

研究分担者 西村 由介  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20447816)
大道 美香  金沢医科大学, 医学部, 講師 (30581079)
大道 裕介  金沢医科大学, 医学部, 准教授 (50506673)
宮地 茂  愛知医科大学, 医学部, 教授 (00293697)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード脊髄損傷 / 歯髄幹細胞 / シグナル伝達系
研究実績の概要

脊髄損傷における神経外胚葉と間葉系幹細胞的性質を兼ね備えた歯髄幹細胞(SHED)の作用機序としては、抗神経軸索伸長抑制因子効果が報告されている。しかし、in vivoレベルでのその作用機序は、完全には解明されていない。今回我々は、歯髄幹細胞は如何に二次損傷を減少させることで機能予後に関与してきているのかを検証するため、クリップによるラット脊髄損傷モデルを用いて検討した。
脊髄損傷モデル(SCI group)群、脊髄損傷+PBS投与(SCI+PBS group)群と脊髄損傷+SHED投与(SCI+SHED group)群においてBBS scoreにて機能評価を行なったところ、day7までは有意な差は認めなかったが、day14以降はSCI+SHED group群において有意な機能予後の改善を認めた。よって、day5と10におけるシグナル伝達系の発現において差があるのかどうか比較検討をおこなった。
脊髄損傷部位におけるphosphorylated (p)-STAT3 at Tyr705の発現は、それぞれの群間でday5では変化を認めなかったが、day10においてはSCI+SHED group群において有意に発現の低下を認めた。iba-1ならびにGFAPの発現に関しても比較検討したが、day5では、いずれも変化を認めなかったが、day10においてはGFAPの発現がSCI+SHED groupにおいて有意に低下していた。
また、免疫組織染色の結果から、p-STAT3 at Tyr705の発現は、GFAPと一致しており、reactiveなastrocyteにおいてp-STAT3 Tyrの活性化を抑えていることが判明した。
以上の結果から、SHEDの機能予後改善においては、day10におけるastrocyteでのSTAT3活性化を抑制することによる可能性が強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績においても記載させていただきましたが、歯髄幹細胞(SHED)の脊髄損傷後の脊髄機能改善の一因として、Western blotならびに免疫組織染色の結果からreactiveなastrocyteでのp-STAT3 at Tyr705の活性化を抑制していることが判明した。これらの知見は、未だかつて報告されたこともなく、新たな結果を得ており、概ね順調に研究は進展していると判断します。今後も、引き続き新たな結果が得られるように更なる検討を加えていく予定です。

今後の研究の推進方策

今回得られた歯髄幹細胞(SHED)の脊髄損傷後の脊髄機能改善の一因として、day10においてreactiveなastrocyteでのp-STAT3 at Tyr705の活性化を抑制していることによる可能性が示唆されたが、何がSTAT3を活性化させるのかなど、そこに至るまでの作用機序について更なる検討を推進していく予定です。
また、脊髄損傷後の歯髄幹細胞投与によるTGF-βを介するSmadへのシグナル伝達系への影響についても検討を推進していく予定です。
以上の結果を踏まえ、STAT3やSmadのknockoutマウスを用いて、脊髄損傷モデルを作成する。下肢の動きなどBBBスコアーにて詳細に評価し、その後、歯髄幹細胞投与によるこれらのknockoutマウスでの治療効果に関して詳細に検討を加え、歯髄幹細胞の作用機序の解明を更に推進していく予定です。

次年度使用額が生じた理由

購入した抗体などを有効に用いての実験が可能であったので、過度の出費をしなくてすんだことにより、今回次年度使用額が生じたと判断します。今後も、更なる歯髄幹細胞(SHED)の脊髄損傷後における作用機序解明に向け、できるだけ不必要な資材などの購入は控え、必要最低限の購入で実験できるように心がけていきたいと考えています。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Angiogenesis in the Outer Membrane of Chronic Subdural Hematomas through Thrombin-Cleaved Osteopontin and the Integrin α9 and Integrin β1 Signaling Pathways2023

    • 著者名/発表者名
      Koji Osuka, Yusuke Ohmichi, Mika Ohmichi, Satoru Honma, Chiharu Suzuki, Masahiro Aoyama, Kenichiro Iwami, Yasuo Watanabe and Shigeru Miyachi
    • 雑誌名

      Biomedicine

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.3390/biomedicines11051440

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 慢性硬膜下血腫被膜におけるintegrinα9β1シグナル伝達系の発現について2022

    • 著者名/発表者名
      大須賀 浩二、鈴木千春、青山正寛、岩味健一郎、大道裕介、大道美香、宮地 茂
    • 雑誌名

      神経外傷

      巻: 45 ページ: 39-41

    • 査読あり
  • [学会発表] 歯髄幹細胞を用いた脊髄神経再生研究2022

    • 著者名/発表者名
      西井智哉、西村由介、雄山隆弘、松尾衛、伊藤洋、永島吉孝、大須賀浩二、大道裕介、三谷泰之、齋藤竜太
    • 学会等名
      第81回日本脳神経外科学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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