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2023 年度 実施状況報告書

亜鉛によるミクログリア制御機構を応用した脳卒中リハビリテーション促進薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09286
研究機関高知大学

研究代表者

東 洋一郎  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (80380062)

研究分担者 上羽 哲也  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
清水 孝洋  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
八幡 俊男  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
齊藤 源顕  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
清水 翔吾  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード脳卒中後遺症 / 中大脳動脈永久閉塞モデル
研究実績の概要

令和5年度は、中大脳動脈永久閉塞モデルマウスの神経学的重症度スコア (NSS)を指標に障害された感覚運動機能を改善する亜鉛関連化合物の絞り込みを行った。
その結果、中大脳動脈永久閉塞によって惹起される感覚運動機能の障害を改善する亜鉛関連化合物としてオキシトシンの同定に成功した。具体的には、中大脳動脈永久閉塞3日後のNSSの値が8のモデルマウスに対してオキシトシンを投与し、閉塞7日後にNSSを再度測定したところ、オキシトシンを投与したモデルマウスの閉塞7日後のNSSの値は3日後の値より低値であった。これはオキシトシンが障害された機能を改善していることを示している。次に、病理組織学的な検討を行うため、2回目のNSSの測定が終了したマウスの脳切片をHE染色した。その結果、オキシトシン投与の有無にかかわらず、梗塞巣の大きさにばらつきがあることが判明した。これでは病理組織学的な検討が困難であるため、より重症度の高いモデルマウス(永久閉塞3日後のNSSの値が10以上)を作成し、再度オキシトシンの有効性について検討した。その結果、対照群ではNSSの値が閉塞3日後と7日後の検討でほぼ変化しなかったが、オキシトシン投与群は3日後の値より7日後の方が低値であった。そこで、前述と同様に脳切片を作成しHE染色を行ったところ、対照群に比してオキシトシン投与群では脳梗塞巣が小さいことが明らかになった。上記の結果はオキシトシンがモデルマウスの機能障害に対して改善効果と梗塞巣の抑制効果を有していることを示している。
これらの結果は、リハビリテーションの早期介入が困難な脳梗塞患者に対しても機能回復の効果を向上させる脳卒中リハビリテーション促進薬の開発に繋がる意義深い重要な知見である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では、脳卒中後遺症の重篤化に関与するミクログリアの活性化を制御する亜鉛関連化合物の探索を培養ミクログリアを用いて行い、同定した亜鉛関連化合物の中大脳動脈永久閉塞モデルマウスに対する有効性を検討することであった。今回の研究では亜鉛関連化合物の探索をモデルマウスを用いて行ったため、ミクログリアの活性化への効果については検討出来なかった。しかし、モデルマウスの障害された機能を改善する亜鉛関連化合物としてオキシトシンの同定に成功したことから研究は概ね予定通り進展している。

今後の研究の推進方策

初年度と次年度の予定変更によって、ミクログリアの活性化に対する亜鉛関連化合物の効果についての検討が出来なかった。そこで今後の研究では、同定したオキシトシンに焦点を絞りミクログリアの活性化に対する効果を検討する。具体的には、オキシトシン投与した中大脳動脈永久閉塞モデルマウスの脳サンプルを単離して脳切片を作成し、活性化ミクログリアの表現型を免疫染色により検討する。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度は実験の予定変更によってミクログリアの活性化を検討するための培養関連試薬を購入する必要がなくなったため当該助成金が生じた。
次年度は今回同定したオキシトシンに焦点を絞って中大脳動脈永久閉塞モデルマウスにおける活性化ミクログリアへの効果を検討する。今回生じた当該助成金はこの検討に使用する。

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公開日: 2024-12-25  

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