研究課題/領域番号 |
22K09289
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三浦 真弘 大分大学, 医学部, 講師 (50199957)
|
研究分担者 |
山田 茂樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40422969)
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60238920)
内野 哲哉 大分大学, 医学部, 助教 (70423697)
高橋 浩一 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 非常勤講師 (90246413)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 走査電子顕微鏡解析 / 脳脊髄液 / 髄膜バリア / 硬膜外リンパ系 / 髄膜-脈管外液性通液路 / 髄液動態 / グリンファティク システム / 脳血管周囲腔 |
研究実績の概要 |
採択初年度(1)ヒト解剖体を用いたICG髄注実験にて、神経根鞘内の生理的なICG(髄液トレーサー)髄膜内浸潤動態確認のため、PDE蛍光イメージング観察を実施した。(2)次いでICG注入実験に用いた検体の各神経根基部に潜在する髄液(神経関連液性成分)を硬膜線維内に誘導する取水口を担う脈管外液性通液路の存在有無とICG粒子通過状況を調べるため走査電子顕微鏡(SEM)解析に必要なアルカリ処理法SEM試料作成を全髄節で実施した。一方(3)カニクイザルを用いたCH40微粒子活性炭を加えたガドリニウム(Gd)髄注実験では、脳脊髄膜及び神経根鞘部、そして脳実質内・脳室内へのGd浸潤・消失動態をMRIにて経時的観察(滋賀医科大学)を行なった。CH40動態についてはデジタルマイクロスコープ・組織化学的解析を実施しMRI所見との整合性検証も試みた(2例)。(4)髄膜に潜在する生理的取水口(脈管外通液路)検索では、ヒト脳硬膜のアルカリ消化法SEM試料作成を行なった。これらは、MRI解析を除けば最終的にSEM解析が必要となるが、何れも後述の遅延理由から2022年には不実施となった。他方、(5)ボランティア被験者を用いた正常髄液動態、特に脊髄神経根領域のMRI解析(水分子動態シークエンス)については分担研究者である山田氏の協力の下、6名のコントロール群と正常圧水頭症患者5名の髄液動態異常を伴う所見との比較を含め、他の髄液トレーサー(CH40、インジゴカルミン)を用いた注入実験と同等の脊髄神経根域-陽性所見(teardrop sign)を確認した。尚、研究成果は、第1回日本脳脊髄液漏出症学会(特別講演)、STROKE2023スパズムシンポ(特別講演)、日本区域麻酔学会第9回学術集会(特別講演)、Neurofluid Imaging Seminar 2022(招待講演)などにおいて講演した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度から大学医学部研究棟すべての耐震工事が開始され、2022年6月から実験実習機器センター・電子顕微鏡解析部門は未だ完全閉鎖中で使用できない状況となっている。そのため、電子顕微鏡(SEMおよびTEM)を用いた微細構造解析ならびにSEM試料作成にかかる後半処理操作のすべてが延期となっている。遅延した組織試料作成過程や電顕解析については、研究センター再開(2023年6月予定)後、直ちに実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
動物実験については、引き続き滋賀医科大学・生命医科学動物センターにてカニクイザルを用いたガドリニウム(Gd)+CH40微粒子活性炭水溶液髄注による髄液動態MRI解析を継続して実施する。また、髄注したGd粒子と髄膜-脈管外通液路(篩状斑)との位置的関係、さらにGd通過状況については、大分大学にて脳硬膜および脊髄硬膜-神経根基部内面にて主に走査型電子顕微鏡にて網羅的に解析する予定である。一方、脳実質内の神経関連水成分(広義の髄液)や神経代謝産物の排出路と推測される①グリンファティックシステムの主座を担う血管周囲腔(PVS)や②脳動脈壁内中膜排出路(IPAD)の通液路としての微細構造検証、さらに視神経鞘を回する髄液髄膜外吸収通液路についても、走査型・透過型電子顕微鏡解析を申請課題研究に追加して実施する予定である。また、脈管外通液路と連携する髄膜関連リンパ管系(硬膜外リンパ管系など)および眼球外膜リンパ系の系統的構造についても酵素組織学的解析を新たに実施したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ下の影響を受けて次年度使用が生じた。次年度使用額は延期となっていたコントロールMRI実験の費用に充てる。
|