研究課題/領域番号 |
22K09295
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
内藤 信晶 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (40829272)
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研究分担者 |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60580446)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グリオーマ / がん幹細胞 |
研究実績の概要 |
悪性神経膠腫(グリオーマ)は脳の正常組織に浸潤するため、外科的に全摘出を行うことが困難となり、局所および遠隔部位での再発例を多く認める。近年、がんの再発の原因として、がん幹細胞の存在が注目されている。がん幹細胞は自己複製能力が高く、抗癌剤などの治療抵抗性を有し、腫瘍形成能力を失わない細胞集団である。したがって、再発の根源であるがん幹細胞をターゲットとした治療法は有効であると考えられる。しかし、特異性の高いバイオマーカーや浸潤に関わる原因遺伝子は不明のままであり、さらなる詳細な研究が求められている。悪性神経膠腫のがん幹細胞は遺伝子発現プロファイルに基づき、4つのクラスタに分類されている。申請者らは、前神経系サブタイプの細胞において内向き整流Kチャネル機能が亢進し、間葉系サブタイプでは検出できないことを見いだしている。そして、前神経系サブタイプのがん幹細胞において、内向き整流Kチャネルをコードする遺伝子であるKCNJ2,4,5,8,9,10,16のmRNAの発現を認めている。さらに、KCNJ10の6カ所で点変異を認め、KCNJ8とLRRC34P1の融合遺伝子を同定した。これらの変異はがん幹細胞の表現型に関わると考えられるため、KCNJ8およびKCNJ10がコードするタンパク質の発現を検証した。その結果、グリオーマのがん幹細胞において、これらのタンパク質の発現は認められなかった。以上の結果は、KCNJ8およびKCNJ10がコードするタンパク質は内向き整流Kチャネル機能に関与しない可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリオーマのがん幹細胞において、KCNJ10の点変異および、KCNJ8とLRRC34P1の融合遺伝子は内向き整流Kチャネル機能に関与しないことを認めた。
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今後の研究の推進方策 |
以上の成果を踏まえて、免疫染色法を用いて、グリオーマの病巣におけるKCNJ2,4,5,9及び16がコードするタンパク質の発現を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(免疫組織学用試薬)に充当する。
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