研究課題/領域番号 |
22K09299
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
高木 理彰 山形大学, 医学部, 教授 (40241707)
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研究分担者 |
丸山 真博 山形大学, 医学部, 助教 (00740870)
伊藤 重治 山形大学, 医学部, 助教 (50764122)
本間 龍介 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (70716688)
高窪 祐弥 山形大学, 医学部, 准教授 (80431641)
鈴木 智人 山形大学, 医学部, 助教 (90599416)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人工関節周囲感染 / マクロファージ / オートファジー / ネトーシス |
研究実績の概要 |
人工関節周囲感染の病態の把握、細胞治療を目的としたアプローチ方法の確立を目的に臨床病理、基礎的な研究を行った。 【1】臨床病理的解析 感染性人工関節周囲組織PJI、関節リウマチ滑膜組織RA、変形性関節症滑膜組織OAを採取し、電子顕微鏡を用いて微細形態の観察を行った。PJIでは、好中球、単球・マクロファージの形態を示す細胞浸潤が多数認められた。好中球では電子密度の高い顆粒状構造物が観察され、一部の好中球はネトーシスを示す形態変化を呈していた。単球・マクロファージでは、微生物の貪食、破壊組織・細胞片の貪食、オートファゴゾームを主体とするオートファジー構造が観察された。比較対象として用いたOA, RAでは、好中球のネトーシスは観察されず、単球・マクロファージでは、オートファジー様構造物が観察された。オートファジーはRAにおいて、OAよりも高頻度で観察された。免疫組織化学的解析では、オートファジー関連蛋白 WIPI-2が単球・マクロファージ系細胞、線維芽細胞に観察され、その強度は、PJI, RAが同程度で、OAよりも強かった。 【2】培養細胞による検討 ヒトマクロファージ様細胞株 TPH-1を培養、 PMAでM0マクロファジに誘導後、IFNγ+LPSでM1、IL-4でM2マクロファージを分極誘導した。誘導後、M0マクロファージ(CD11b+CD80―CD206―)は80%、M1マクロファージ(CD11b+CD80+CD206―)は45%、M2マクロファージ(CD11b+CD80―CD206+)は4%に分極した。WIPI-2-MFIを検討するとM2マクロファージの方が有意に高かった。 上記の検討より、感染性人工関節組織の超微細形態におけるネトーシス、オートファジーの発現が確認され、さらに細胞培養では、細胞を分化誘導して細胞治療に用いるマクロファージのアッセイ系の基礎準備が出来上がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床病理学的解析では、超微細形態の解析で順調に経過している。免疫組織化学的解析で、オートファジー関連分子の解析が可能であった。今後、関連分子を網羅的に解析し、同時に自然免疫系関連受容体の解析結果との関連分析する道筋が開けた。細胞培養でもマクロファージの分化誘導が可能で、FACSを用いた細胞分離手法も確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
感染性人工関節周囲感染組織の超微細形態観察、免疫組織化学的観察検討を引き続き実施することとあわせて、細胞培養系で M0, M1, M2 マクロファージを分離培養する動物モデルのアッセイ系を確立しながら、インプラント周囲感染モデルに細胞注入を行う実験系の準備をあわせて推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
flowcytometryを用いた細胞分離・解析の予備実験で細胞分離の条件設定に時間を要したたため、分離した細胞の細胞培養実験、動物実験が十分推敲できなかったため、次年度に予算を繰り越しました。現在、flowcytometryの調整が進んできたため、昨年度の残りの実験とあわせて、今年度の実験計画を行う予定です。
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