研究分担者 |
丸山 真博 山形大学, 医学部, 助教 (00740870)
伊藤 重治 山形大学, 医学部, 助教 (50764122)
本間 龍介 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (70716688)
高窪 祐弥 山形大学, 医学部, 准教授 (80431641)
鈴木 智人 山形大学, 医学部, 助教 (90599416)
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研究実績の概要 |
人工関節周囲感染の病態の把握、細胞治療を目的としたアプローチ方法の確立を目的に、昨年度の検討で明らかになったマクロファージの特異的な動態に着目して滑膜組織を解析した。 手術検体から得られた滑膜組織から、マクロファージを分離培養し、感染の病態である炎症(IFN-γ, LPS刺激)、炎症抑制(IL4刺激)の2つの条件下で、マクロファージの亜型、動態について検討した。マクロファージの亜型はFACSを用いて、M0マクロファージ(CD11b+CD80―CD206―)、M1マクロファージ(CD11b+CD80+CD206―)、M2マクロファージ(CD11b+CD80―CD206+)を指標に分別した。マクロファージの亜型は、M0, M1, M2,さらにM1/M2二重陽性の4型に分別された。炎症性の滑膜から分離培養したマクロファージはM1, M1/M2, M0, M2 の順に多く、刺激を加えると炎症(IFN-γ, LPS刺激)条件で、M0, M2, M1/M2の割合は低下、M1の割合が上昇した。炎症抑制(IL4刺激)条件下では、M0, M2の割合は低下、M1/M2の割合は維持された。 昨年度の研究で明らかとなった炎症組織におけるマクロファージに高発現するオートファジー分子に着目して解析すると、オートファジー関連分子のWIPI2, LC3, p62 のいずれもM0マクロファージと比較して M2, M1/M2マクロファージでの発現が強く、さらにM1と比較してM1/M2での発現が強かった。 今回の研究から、炎症性滑膜炎の病態では、炎症の修復機転が働くと、M1からM1/M2に形質転換する細胞群の存在とあわせて、M1/M2マクロファージがM2マクロファージとともにオートファジーシステムも利用しながら抗炎症性の働きをする可能性が示唆された。
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