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2023 年度 実施状況報告書

血友病性関節症における関節障害発生機序の詳細

研究課題

研究課題/領域番号 22K09300
研究機関東京大学

研究代表者

寺島 明日香  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (30596937)

研究分担者 齋藤 琢  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
竹谷 英之  東京大学, 医科学研究所, 講師 (90206996) [辞退]
大野 久美子  東京大学, 医科学研究所, 助教 (30444251)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード血友病性関節症 / 滑膜 / 関節
研究実績の概要

血友病は血液凝固因子 VIII 因子(血友病 A)、IX 因子(血友病 B)の欠損による遺伝性血液凝固異常症である。易出血性に起因する関節内出血が繰り返されることで滑膜炎が誘導され、骨・軟骨損傷がおこり、関節の痛みや可動域の制限など関節の機能障害を伴う、血友病性関節症が発症する。滑膜炎は可逆的であるが、関 節障害は不可逆的なプロセスであり、QOLの著しい低下が認められる。しかしながらこの骨破壊のメカニズムはほとんど明らかになって おらず、有効な治療法は確立されていない。現状では症状が進行してしまった場合、人工関節の置換術などの外科的処置を選ぶしかなく、その場合でも耐久性や術後の感染リスクなどの課題が残る。したがって血友病性関節症の病態解明と新規治療法の確立は重要である。そこで本研究においては血友病関節症を誘導する細胞や経路を明らかにし、新規治療法開発の基盤づくりを目的とする。研究はヒト臨床検体及び動物モデルでの血友病性関節症の解析を同時に進め、比較することにより、臨床で観察される血友病性関節症特有の関節破壊機序の核心に迫りつつ動物モデルのメリットを活かし、関節内出血発生からの経時的変化をつぶさに追いかけ、血友病性関節症特異的な分子メカニズムを解明することを目的としている。本年度は臨床検体の提供に同意してくださった方々および研究分担者の協力のもと、滑膜切除術、人工関節置換術で発生した滑膜組織や軟骨組織、軟骨下骨組織の切除サンプルをサンプリングし、病理組織切片作製し、特徴的な表現型を見出すことができた。また、臨床検体組織からRNAを採取して遺伝子発現解析も進められた。細胞の採取まで行えた一部のサンプルについては、フローサイトメトリーによる細胞の解析データも集めている。ヒト臨床検体の解析と並行して血友病性関節症モデルマウスの解析も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

血友病性関節症患者の手術は変形性関節症に比べて手術件数が圧倒的に少なく集まりにくい状況は以前として続いている。こちらの点に関しては、研究分担者とさまざまに協議を重ね検体採取を試みている。このように検体集めは困難を極めているが、本年度においては集められた臨床検体サンプルにおいて、遺伝子発現解析を進めることができた。所属ラボで蓄積されている変形性関節症検体データとの比較を進め、血友病性関節症特異的な経路を見出しつつある。また、血友病マウスをもちいた、新規血友病性関節症マウスモデルの作製では、臨床で観察されるような関節症の経過をたどれそうであることもわかった。

今後の研究の推進方策

臨床検体の解析から血友病性関節症特異的な関節炎増悪に関する経路の候補をいくつか見出すことができた。今後はこの経路にかかわる因子や上流因子の解析を中心に行っていく。また、こうした候補経路や因子が動物モデルではどのように変動していくかを経時的に観察することで血友病性関節症増悪の分子メカニズムに迫りたい。

次年度使用額が生じた理由

血友病性関節症のヒト臨床検体のシングルセル解析に使用予定であったが、ヒト検体からの細胞調整に難渋しており、高額なシングルセル解析に適したサンプル調整に至らなかったことが主な原因である。サンプリングに関しては条件検討を終えることができたので次年度に使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 廃用関節では滑膜マクロファージおよび滑膜線維芽細胞の特異的クラスターが軟骨変性に寄与する2023

    • 著者名/発表者名
      寺島 明日香、石倉 久年、宮原 潤也、岡田 寛之、矢野 文子、小俣 康徳、田中 栄、齋藤 琢
    • 学会等名
      第8回日本骨免疫学会
  • [学会発表] 血友病性関節症の病態解明2023

    • 著者名/発表者名
      寺島 明日香、森 大典、大野 久美子、竹谷 英之、齋藤 琢
    • 学会等名
      2023年度東京骨関節フォーラム

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公開日: 2024-12-25  

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