研究課題/領域番号 |
22K09301
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大関 信武 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 講師 (10755359)
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研究分担者 |
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (10345291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / MRI / 超音波 |
研究実績の概要 |
本課題において、我々が開発した3D MRI解析システムを用いた膝関節軟骨・半月板の定量評価を行っている。現在、内側半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者50膝以上の解析を行った。軟骨の厚さ、体積、軟骨面積率と関節鏡による軟骨スコアリングにおいて、大腿骨内側顆・脛骨内側顆のそれぞれ9つのサブ領域に区分して検討したところ、大腿骨内側顆では関節鏡では確認できない3つのサブ領域を除く6つのすべてのサブ領域において相関が認められた。脛骨内側顆では9つのサブ領域中5つのサブ領域において相関が認められた。特に脛骨側では、前方から中央の中央~外縁におけるサブ領域で相関が認められており、変形性膝関節症における軟骨摩耗がこの領域から始まることを証明したと言える。 また、O脚(いわゆる内反膝)といった下肢アライメント異常は変形性膝関節症の主要な原因となることが古くから知られているが、3DMRIによる軟骨の厚さや面積率との関連を調べた報告はなく、本課題において両者の関連についても解析を行っている。また半月板逸脱が変形性膝関節症の発症および進行の重要な因子として近年注目されており、MRIにおける半月板逸脱と3DMRI解析における半月板が脛骨内側顆の関節軟骨を被覆する割合である半月板被覆率との関連について解析を行っている。半月板逸脱は超音波検査でも調べることができるため、3D MRIにおける半月板被覆率と超音波による半月板逸脱の関連を調べている。本病態を解明することは、新たな疾患修飾薬や手術治療の開発につながるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3D MRI解析システムを用いた膝関節軟骨・半月板の定量評価を、内側半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者50膝以上の解析を行っており、おおむね順調に研究を進めることができている。軟骨の厚さ、体積、軟骨面積率と関節鏡による軟骨スコアリングにおいて、大腿骨内側顆・脛骨内側顆のそれぞれ9つのサブ領域に区分して検討したところ、大腿骨内側顆では関節鏡では確認できない3つのサブ領域を除く6つのすべてのサブ領域において相関が認められた。脛骨内側顆では9つのサブ領域中5つのサブ領域において相関が認められた。特に脛骨側では、前方から中央の中央~外縁におけるサブ領域で相関が認められており、変形性膝関節症における軟骨摩耗がこの領域から始まることを証明することができた。本結果は国際英文誌において報告した。また、手術において関節鏡で大腿骨を評価する際、その円周上の形状から通常評価していた後方領域は、3D MRIで評価すると中央領域に該当し、3D MRIの後方領域とは一致しないことが分かった。今後、軟骨を評価していく上で、どの部位を評価しているのかを正確に把握することは重要であり、本結果も英語論文で報告した。現時点での進捗状況は順調であり、引き続き変形性膝関節症の病態を解明する研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在3D MRI解析を行った症例の下肢アライメントデータを単純X線より計測し、膝関節軟骨・半月板の定量評価と下肢アライメントの関連について解析を進めている。O脚(いわゆる内反膝)といった下肢アライメント異常は変形性膝関節症の主要な原因となることが古くから知られているが、3DMRIによる軟骨の厚さや面積率との関連を調べた報告はないため、本課題において両者の関連を解析することで、変形性膝関節症の病態をより解明することができる。 また、変形性膝関節症の発症および進行の重要な因子として近年注目されている半月板逸脱を2D MRIでの計測および超音波での計測を行い、3DMRI解析における半月板が脛骨内側顆の関節軟骨を被覆する割合である半月板被覆率との関連について解析を行っていく。また、半月板逸脱に対する新たな治療法である鏡視下Centralization法は膝OAの予防効果が期待されるが、半月板逸脱抑制効果など、まだ不明な点も多い。Centralization法の有効性を3DMRI解析を用いて評価することにより、その効果を判定することができる。半月板逸脱の病態を解明することは、新たな疾患修飾薬や手術治療の開発につながるものであり、症例数を増やして検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加で計上していた旅費が、他の予算で執行できたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)現在、3D MRI解析については順調に進めており、今後は超音波解析による半月板逸脱の評価や、骨棘のサイズの評価などを行っていきたいと考えており、これらを評価することのできる装置の購入などに充てていきたいと考えている。
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