研究課題/領域番号 |
22K09302
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50583754)
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研究分担者 |
平井 高志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40510350)
江川 聡 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座助教 (90934943)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨形成薬 |
研究実績の概要 |
化合物Pはそれ単体で筋肉内で骨誘導能を呈するが生体内で吸収されやすく、効力を発揮するためには数週間は生体内で残存する必要があることが課題である。本研究ではそれを解決するために高分子化合物などとの複合体により吸収率の低下を試みた。まずゼラチン溶液に同量の化合物Pを分散させて複合体を作成した。この複合体は低温で半固体となり、局所の滞留性が非常に良くハンドリングも良好であった。これをマウス大腿骨周囲に埋植したところ、化合物Pはそれ単体の時と比べてより長期に残存した。単体では投与後2-3週程度で大部分が消失したのに対し、投与後6週まで明瞭な残存を認めたが、単体に比べて明らかな骨誘導能の増加は認めなかった。さらに剤形に工夫を加えこの化合物P含有ゼラチン溶液をゲニピンにて架橋するとその投与量に伴いより硬度の高い物質が得られたが、あまりにも生体吸収性が低かった。 これらの結果から本化合物は数週間の残存も重要であるが、相反してスムーズな吸収も骨形成に重要な因子であることが分かった。したがって過度な吸収抑制は骨形成能の低下を生じうるため、分散液としてペースト状としてコントロールを試みた。すると単体の投与に比べて効率的な骨形成が生じることが分かった。適度に遺残も認めることが奏功したと考えられるが、一部は永続的に残存してしまうことが観察されたため、今後は工夫を加えて体内残留を最小限にしたい。また骨形成に必要な投与量の最適化も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単純に化合物の吸収を抑えれば良いのではなく、適度に残留しつつも適度に吸収される必要があることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
残留と吸収のバランスを持ち合わせた工夫を模索していく。化学組成だけでなく、物理的な処理によりコントロールできる可能性があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨形成に対し単純に化合物の吸収を遅らせればいいのではなく、適度な吸収率も重要であることが分かったため物質の合成に時間を要した。次年度は動物実験での証明がメインとなるため繰り越しが生じた。
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