研究課題/領域番号 |
22K09333
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
岡上 裕介 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (50448388)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 多血小板血漿 / 変形性股関節症 / 疼痛 |
研究実績の概要 |
当院にてPRP関節内注射療法を自由診療として開始するため、第2種再生医療等提供計画の新規申請を特定認定再生医療等委員会に行い、審査の上受理された。令和4年6月29日に厚生労働省に受理され、再生医療等提供機関の認定を受け、認可後は自費診療として、股関節40例以上施行しており、本研究のメインテーマであるPRP関節内注射療法における疼痛抑制機序の解明に向けデータを蓄積中である。 疼痛抑制効果の評価は、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC)疼痛スコア、およびPain-VASとし、MRIによる画像評価 は股関節内構造物のMRI所見の変化をScoring Hip Osteoarthritis With MRI (SHOMRI)を用いてスコアリングを行い、PRP投与前後における関節内構造物(股関節唇、関節滑膜、大腿骨頭靱帯、骨、関節軟骨など)の異常所見の変化を評価している。 現在までのデータでは、PRP関節内注射後6カ月の時点でPain-VASがMCIDを超えて改善していた症例は75%であった。Pain-VAS改善率と相関を認めた項目は水腫/滑膜炎のみであり、残りの軟骨、骨髄浮腫、骨嚢胞、関節唇、大腿骨頭靱帯とは相関を認めなかった。このことより、滑膜炎に対する消炎効果がPRPによる疼痛抑制の主たる機序を担っていると考えられる。また、投与前に骨・軟骨の変性が強い症例には疼痛抑制効果が乏しいという途中経過を得ている。このデータの一部については、European Hip Society 2023 Annual Meetingにて発表を行った。 ラットを用いた基礎実験では、MIAを用いたラットOAモデル作成に難渋しており実験が進んでいないのが現状である。動物実験施設担当者等と協議を重ねながらモデルを完成させる必要がある。当初より令和6年度までの実験計画であり、次年度も引き続き行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床における『股関節痛を有する股OA患者に対してPRP関節内投与を行い、投与前後の股関節内構造物のMRI所見の変化及び股関節痛の評価』としては、PRPの関節内投与は第二種再生医療等技術に相当するため、特定認定再生医療等委員会の承認を得た上で厚生労働省の認可を得て、本研究を進める予定であった。令和4年10月より開始し、現在まで40例以上症例に投与しており、概ね順調に進展していると考えられる。 動物実験における『ラット股OAモデルでのPRPによる関節内構造物の組織修復過程の評価』としては、MIAを用いたラット股OAモデルの作成に難渋しており、研究が進んでいない。そのため、総合的にみて、やや遅れていると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床における『股関節痛を有する股OA患者に対してPRP関節内投与を行い、投与前後の股関節内構造物のMRI所見の変化及び股関節痛の評価』に関しては、予定症例は20例であったが、来年度も検討を続け、50例をめどに論文化する予定とする。 動物実験における『ラット股OAモデルでのPRPによる関節内構造物の組織修復過程の評価』としては、問題点を科内及び動物実験施設担当者等と議論の上、作成を進める。 動物実験の進捗によっては、研究期間の延長を必要とする可能性が高いので、補助事業期間延長承認申請書の作成も考慮する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ラットOAモデルの作成が進行しておらず、ラット購入予定費用等基礎実験への予算を使用できていない。問題点を解決の上、次年度に基礎実験についての予算を執行する予定である。
|