研究課題/領域番号 |
22K09334
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小関 弘展 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70457571)
|
研究分担者 |
尾崎 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20380959)
今井 智恵子 (野口智恵子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90746653)
朝永 育 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (10972622)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 不動 / 骨萎縮 |
研究実績の概要 |
2022年度は「不動性骨萎縮の病態解明」というテーマを掲げ、①外固定期間(1~12週)における体重,血液検査,骨代謝マーカーの推移を計測、②大腿骨骨幹端部(海綿骨)と骨幹部(皮質骨)のmicro-CT項目値による骨微細構造解析、③大腿骨の長さ,周囲径,骨密度,相対重量比を計測後,機械的強度を評価するという手順で行った。8週齢のSPF Wistar系ラットを飼育し、3種混合麻酔の腹腔内投与(塩酸メデトミジン・ミダゾラム・酒石酸ブトルファノール)による全身麻酔下に,膝関節上部から前足部まで両側の後肢をギプス固定した。後肢の股関節の可動性と下肢への荷重を許容できるようにし、飼育室の照明は12時間ごとに明暗をコントロールし,室温は25±1℃,湿度は50%に維持した。ギプスの緩みや浮腫,血行障害を回避するため,2日毎にギプスを巻き直した。各固定期間終了後,安楽死させ,両側の後肢を周囲の軟部組織とともに一塊として採取した。 2023年3月31日時点で,120個の検体試料を採取し,大腿骨骨幹端部海綿骨と骨幹部皮質骨のmicro-CT項目値の推移をモニターした。その結果,外固定1週後には大腿骨の成長が阻害され,2週後には既に皮質骨,海綿骨ともに構造学的破壊が進行していることが判明した。2023年度は,コントロール群との統計学的比較・検討を進める。また,大腿骨長と周囲径を計測し,3点曲げ試験(最大曲げ強度,最終破断強度),圧縮強度試験(初期圧壊強度,最終圧潰強度)の結果を集計して,適宜全国規模の学会で発表を予定している。さらに,micro-CT値の3次元構造トルク値との相関分析を行う予定である。2022年4月~2023年3月までの期間における学会演題発表は10回であり,論文掲載は6編(その内英字論文2編)である。現在,英字論文3編を投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①外固定期間(1~12週)における体重,血液検査,骨代謝マーカーの推移を計測、②大腿骨骨幹端部(海綿骨)と骨幹部(皮質骨)のmicro-CT項目値による骨微細構造解析、③大腿骨の長さ,周囲径,骨密度,相対重量比を計測後,機械的強度を評価する3項目のデータ取集が6割程度にとどまっている。新型コロナウイルス感染による納品の遅れと材料費の高騰が大きく影響しており、安全で安価な購入先と流通経路を模索している。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、B-SES介入実験を行う予定である。2022年度の研究結果をもとに、筋肉および骨組織へ影響を及ぼさない範囲での最大電気刺激条件の探索、B-SES介入の有無による骨密度、骨微細構造パラメータ、機械的骨強度の計測、さらには組織学・組織化学・免疫組織化学的手法による分子生物学的解析を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により一部の物品と備品の納入時期が遅れたことと,材料費の高騰が原因で2022年度の使用額が低くなり,次年度使用額が生じた。今後は,膨大なデータを管理するセキュリティーレベルの高いOA機器と解析ソフトウェア,データを保存する電子媒体を購入する予定である。また,消耗品として免疫染色などの試薬,組織保存包装紙や飼育用の餌や水の購入費,解剖キット,印刷用紙,プリンタインク,シャーレやピペットなどの物品費,延期となった学会への参加費,演題登録料,旅費,そして論文作成における英文校閲,ジャーナル投稿及び掲載料などの費用が見込まれる。
|