• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

転写調節因子RESTに着目した末梢神経軸索再生の分子機構解明と新規治療法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K09342
研究機関順天堂大学

研究代表者

内藤 聖人  順天堂大学, 医学部, 准教授 (70646760)

研究分担者 上野 祐司  順天堂大学, 医学部, 客員教授 (00349002)
窪田 大介  順天堂大学, 医学部, 助教 (70638197)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードREST / 軸索再生マーカー / GAP43
研究実績の概要

本研究の目的は、RESTの転写調節因子としての多機能性に注目し、RESTの関与する軸索再生機構を網羅的に探索し、加齢による軸索再生能力低下の病態解明と、軸索再生を標的とした新たな治療法を開発することである。
初年度である2022年度は、線維芽細胞株NIH-3T3を用いて、REST高発現モデルおよび発現抑制モデルを作成した。RESTの強制発現にはRESTプラスミドを使用し、REST発現抑制モデルはshRNA(short hairpin RNA)を用いた。コントロール細胞、REST高発現細胞、REST発現抑制細胞を用いて、軸索再生マーカーであるGAP43などの神経特異的タンパク質の発現やGAP43発現に関与する細胞内経路の発現解析をウェスタンブロット (WB) 法、PCR法により評価し、軸索再生への影響について解析した。その結果、REST発現調節細胞において、GAP43発現はコントロールと比較してREST高発現細胞で有意に低下していた(0.58倍, P=0.016)が、REST発現抑制細胞では有意に亢進していた(2.60倍, P<0.001)。さらにGAP43発現に関わるJAK1/STAT3経路の発現はコントロールと比較してREST高発現細胞でIL6は有意に亢進し、gp130とJAK1は有意に低下していた (P=0.017、P=0.004、P=0.038)。一方、REST発現抑制細胞ではコントロールと比較してIL6、gp130、JAK1、STAT3は有意に亢進していた (P=0.010、P=0.004、P=0.003、P=0.012)。以上より、gp130発現はRESTにより制御され、JAK1/STAT経路による軸索再生に影響を及ぼすことが示唆された。
また、次年度に予定している、REST発現調節の分子機構を明らかにするためのRNAシーケンスによる網羅的発現解析の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は、線維芽細胞株NIH-3T3を用いて、REST高発現モデルおよび発現抑制モデルの作成に成功した。また、軸索再生マーカーであるGAP43などの神経特異的タンパク質の発現やGAP43発現に関与する細胞内経路の発現解析をウェスタンブロット (WB) 法、PCR法により評価し、軸索再生への影響について解析した。さらに、次年度に予定している、REST発現調節の分子機構を明らかにするためのRNAシーケンスによる網羅的発現解析を行う準備を進めている。
以上より、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

今年度はRESTが関与する軸索再生機構についてのGAP43に関わる細胞内経路について解析することができた。一方、RESTを介する軸索再生機構のみならず、REST発現調節の分子機構を明らかにするためのRNAシーケンスによる網羅的発現解析を行う準備を進めている。これにより、新規治療標的となり得る分子や新規パスウェイの発見が期待される。また、最終年度で予定されている、野生型マウスの神経障害モデルを用いた小分子化合物の軸索再生新規治療法としての有用性について検討を行う実験についての準備も進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験を効率よく進めることができ、消耗品費として申請していた試薬類の消費が当初より少なくなった。次年度のRNAシークエンス解析や動物実験に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] シュワン細胞株虚血モデルでは転写抑制因子RESTの発現が亢進する.2022

    • 著者名/発表者名
      川北 壮、内藤聖人、鈴木崇丸、小畑宏介、菊井彩夏、窪田大介、佐々恵太、鈴木雅生、市原理司、石島旨章.
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] マウス末梢神経損傷モデルにおける軸索再生過程の神経特異的タンパク質発現に対する加齢の影響.2022

    • 著者名/発表者名
      小畑宏介、内藤聖人、菊井彩夏、中村眞二、鈴木 香、川北 壮、後藤賢司、鈴木雅生、市原理司、長岡 功、石島旨章.
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] シュワン細胞株では虚血負荷で軸索マーカー発現が低下する.2022

    • 著者名/発表者名
      川北 壮、内藤聖人、上野祐司、窪田大介、鈴木崇丸、佐々恵太、小畑宏介、菊井彩夏、市原理司、鈴木雅生、服部信孝、石島旨章.
    • 学会等名
      第33回日本末梢神経学会学術集会
  • [学会発表] 若年および高齢マウスを用いた神経損傷モデルにおける神経特異的転写因子RESTと神経栄養因子発現の比較.2022

    • 著者名/発表者名
      菊井彩夏、内藤聖人、名倉奈々、小畑宏介、後藤賢司、鈴木雅生、市原理司、川北 壮、鈴木崇丸、石島旨章.
    • 学会等名
      第65回日本手外科学会学術集会
  • [学会発表] 若年および高齢マウスを用いた絞扼性神経損傷モデルにおけるWaller変性と神経特異的タンパク質発現の比較.2022

    • 著者名/発表者名
      小畑宏介、内藤聖人、菊井彩夏、中村眞二、川北 壮、後藤賢司、鈴木雅生、市原理司、長岡 功、石島旨章.
    • 学会等名
      第65回日本手外科学会学術集会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi