研究実績の概要 |
近年,タラ由来のゼラチンを用いた医療用接着シートが開発され,従来より高い接着強度と生体親和性を有することがブタの血管を用いて確認されている.本研究では新規に開発されたタラ接着シートによる,断裂した神経を接着した際の強度の増強を確認する.さらに同タラ接着シートにて接着した神経組織の機能回復,癒着防止機能を検討し,将来的に実臨床での実用化を目的とする. 強度試験では、現在までに新鮮屍体の指神経を用いて1. 従来の縫合糸を用いた縫合 (8-0ナイロン糸)、2.縫合糸を用いた縫合 (8-0ナイロン糸)+タラ接着シートによる接着 、3.タラ接着シートのみの接着、4. フィブリンによる接着を用いた引張試験を行った。 縫合糸を用いた縫合+タラ接着シートによる接着は縫合糸を用いた縫合よりも有意に強度が高くなることが証明された。 また タラ接着シートのみの接着は、まだ縫合糸の強度には及ばないという結果が得られたが、従来用いられてきたフィブリンよりも高い接着強度が得られた。 機能評価では同接着剤を用いて接着された神経の機能評価を行うことで,本接着剤が接着のみならず, 接着後の機能も維持されていることを確認中である。 機能評価はラットの坐骨神経を用いて行い, 接着後8 週において行った.肉眼での連続性, 前脛骨筋の重量, Sciatic functional index を測定することで神経の回復の状態を評価している最中である。
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