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2022 年度 実施状況報告書

人工受容体遺伝子導入動物を用いた下垂体後葉ホルモンの鎮痛メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09367
研究機関産業医科大学

研究代表者

川崎 展  産業医科大学, 医学部, 准教授 (40644860)

研究分担者 上田 陽一  産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
鈴木 仁士  産業医科大学, 医学部, 講師 (80644880)
松浦 孝紀  産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90821679)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードオキシトシン / バゾプレッシン / トランスジェニックラット / 神経障害性疼痛モデル
研究実績の概要

令和4年度は疼痛モデルにおけるオキシトシンおよびバゾプレッシンの特異的な作用を調べるため、人工受容体(薬剤興奮性受容体)遺伝子導入動物モデル、オキシトシン(OXT)-hM3Dq-mCherry トランスジェニック(Tg)ラットおよびバゾプレッシン(AVP)-hM3Dq-mCherry Tgラットを用いて、坐骨神経部分結紮(Partial sciatic nerve injury:PSNL)を行い、神経障害性疼痛モデルを作成した。対照群は、坐骨神経の露出のみを行う偽手術群とした。OXT-hM3Dq-mCherry Tg ラットおよびAVP-hM3Dq-mCherryをそれぞれ偽手術群およびPSNL群にわけ、合計4群で実験を行った。PSNLモデル作成後7および14日に機械刺激に対する痛覚閾値の評価を行い、PSNL群において有意に痛覚閾値の低下を認めた。さらに、薬剤興奮性受容体のhM3Dqの作動薬であるDeschloroclozapine(DCZ)を投与し、OXTおよびAVPニューロンの活性化後の痛覚閾値の変化を評価した。処置後15日後に4群をさらにDCZ群および溶媒群に分けて実験を行った。DCZ投与群では、溶媒群と比較して痛覚閾値の有意な増加を認めた。処置後21日後に不安様行動を評価するために、ビデオ・トラッキング・ソフトウェアによる自動行動解析システムを用いて、オープンフィールドテストを施行したが、PSNL群と偽手術群の間に明らかな有意差を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度はCOVID-19流行の影響による実験の遅れがあり、慢性関節炎モデルの実験を行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、リウマチ性関節炎モデルを作成し、痛覚閾値、不安様行動及び鬱様行動をOXT及びAVPがどのように変容するのかについて検討を行う。さらに、無処置のOXT-hM3Dq-mCherry Tg ラットおよびAVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットを用いて、DCZ投与後120分後に灌流固定を行い、脳、脊髄および後根神経節(Dorsal root ganglia, DRG)を摘出する。脳、脊髄およびDRG切片を作成し、神経活性の変化を、最初期遺伝子のc-Fos蛋白に対し、免疫組織化学的染色法(IHC)を用いて c-Fos陽性細胞数を評価する。鎮痛作用に関して、下行性疼痛抑制系のセロトニン系の背側縫 線核(Dorsal raphe:DR)およびノルアドレナリン系の青斑核(Locus coeruleus:LC)、脊髄後角およびDRGの神経活性を評価する。さらに、抗不安作用および抗鬱作用について、前部帯状回および扁桃体の神経活性を評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度はCOVID-19流行の影響による実験の遅れがあり、慢性関節炎モデルの実験を行うことができなかった。また解析用コンピュータの購入も行っていない。令和5年度は、備品機材購入とともに、リウマチ性関節炎モデルを作成し、痛覚閾値、不安様行動及び鬱様行動をOXT及びAVPがどのように変容するのかについて検討を行う。さらに抗不安作用および抗鬱作用について、前部帯状回および扁桃体の神経活性を評価する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Upregulation of the hypothalamo-neurohypophysial system and activation of vasopressin neurones attenuates hyperalgesia in a neuropathic pain model rat2022

    • 著者名/発表者名
      Baba K、Kawasaki M、Nishimura H、Suzuki H、Matsuura T、Ikeda N、Fujitani T、Yamanaka Y、Tsukamoto M、Ohnishi H、Yoshimura M、Maruyama T、Sanada K、Sonoda S、Nishimura K、Tanaka K、Onaka T、Ueta Y、Sakai A
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 13046

    • DOI

      10.1038/s41598-022-17477-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Endogenous oxytocin exerts anti-nociceptive and anti-inflammatory effects in rats2022

    • 著者名/発表者名
      Nishimura H、Yoshimura M、Shimizu M、Sanada K、Sonoda S、Nishimura K、Baba K、Ikeda N、Motojima Y、Maruyama Ti、Nonaka Y、Baba R、Onaka T、Horishita T、Morimoto H、Yoshida Y、Kawasaki M、Sakai A、Muratani M、Conway-Campbell B、Lightman S、Ueta Y
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 5 ページ: 907

    • DOI

      10.1038/s42003-022-03879-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 神経障害性疼痛モデルラットにおけるバゾプレッシンの発現動態および鎮痛への関与の検討2023

    • 著者名/発表者名
      Nishimura H, Kawasaki M, Ikeda N, Shimizu M, Suzuki H, Yoshimura M, Maruyama T, Ueta Y, Sakai A
    • 学会等名
      日本生理学会第100回記念大会
  • [学会発表] 内因性オキシトシンは神経性および液性調節を介して鎮痛効果と抗炎症効果を発揮する2022

    • 著者名/発表者名
      Baba K, Yoshimura M, Sanada K, Sonoda S, Nishimura K, Nishimura H, Ikeda N, Maruyama T, Nonaka Y, Baba R, Onaka T, Horishita T, Morimoto H, Yoshida Y, Kawasaki M, Sakai A, Conway-Campbell B, Lightman S, Ueta Y
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] 神経障害性疼痛モデルラットにおけるバゾプレッシンの発現動態および鎮痛への関与の検討2022

    • 著者名/発表者名
      馬場一彦、川崎展、西村春来、藤谷晃亮、松浦孝紀、山中芳亮、鈴木仁士、大西英生、上田陽一、酒井昭典
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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