研究課題/領域番号 |
22K09369
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 諒 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30908190)
|
研究分担者 |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 骨再生 |
研究実績の概要 |
難治骨折となった高齢者は慢性的な痛みやADL制限のため寝たきりや要介護となることから, 難治骨折に対する新規治療法開発は社会的・医療経済学的にも重要な意味をもつ. 骨組織修復を担う間葉系幹細胞の数や機能の低下が難治化の主因のひとつであることから, 本研究では小児歯髄由来の“活きのよい”幹細胞である歯髄幹細胞(SHED; Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth) を骨折部に補充し骨治癒を促進する新規難治骨折治療法の開発を目指す. 充療法の効果をラット前臨床モデルを用いて検討した。16週齢雄Sprague-Dawleyラットの脛骨に20Gy放射線単回照射(XRT)を行い、幹細胞を減少させた難治骨折モデルを作成した。XRT4週間後に両側脛骨に3mm径の骨孔を作成し、片脚にはSHEDを播種したハイドロキシアパタイトコラーゲン複合体(HA/Col)を、対側にはHA/Colのみを移植した。2週毎に縦断的にCTを撮像し骨孔閉鎖率を計測するとともに、4、8週後に摘出したサンプルを組織学的に評価した。その結果、健常ラットでは6週間程度で骨孔はほぼ閉鎖するが、XRTを行ったラットでは8週後の骨孔閉鎖率は平均20%(対照HA/Colのみ)と治癒が遷延していた。一方、SHED移植側の骨孔閉鎖率は平均57%と有意に改善した。組織評価ではSHED由来の細胞は確認できなかったが、より豊富な血管と骨新生像がみられた。こ結果からSHED局所投与は高齢者難治骨折の治癒を促進させる可能性が示された。SHEDは、それ自身が骨芽細胞に分化するのではなく、血管新生など移植後早期のイベントを賦活化することで骨修復を促進する可能性が考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗予定通りの結果が出ている
|
今後の研究の推進方策 |
今後はIn vitroでの作用メカニズムの解明およびpotency評価系の開発に注力していく予定である。多分化能を持つSHEDが生体内移植環境下においてどの程度の期間遺残し、どの程度軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞への分化し、骨治癒に貢献するのかを免疫組織学的手法を用いて検討する。また、液性因子を介した骨芽細胞分化、活性化能及び、血管新生能の評価も行う予定である。DISH上でSHEDと前骨芽細胞株との共培養しその培養液に対してPCR検査を用いて評価する予定としている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物価格及び、試薬の価格変化 学会発表や追加実験などに用いる費用に充填する予定である
|