研究課題/領域番号 |
22K09372
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小森 啓一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任研究員 (20622624)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 可塑性 / サイトカイン / 関節炎 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
滑膜、骨髄、脂肪などに存在する間葉系幹細胞を使用した再生医療は、その有効性が評価されつつある。間葉系幹細胞は、骨、軟骨、脂肪などへの分化能をもつ体性幹細胞であり、これらを用いた再生医療は、今まで困難でであった関節軟骨や半月板の修復にとても有用である。 細胞を使用した再生医療は、今まで治療困難・治療不可であった疾患や怪我を治療可能とする医療であるが、一方で細胞がもつ可塑性という性質上、その治療効果は一般医薬品よりも患部の状態(環境)に、より大きく影響することが予想される。これは、投与する細胞に素晴らしい治療作用や修復・再生能力があったとしても、患部の状態や環境によりその能力を十分に発揮できないばかりか、打ち消してしまう可能性もある。 このことから、細胞を用いた再生医療で最大かつ均質な治療効果を得るためには、患部の状態(環境)をコントロールする事が重要であると考えられる。 そこで本研究は、間葉系幹細胞を投与する患部の状態(環境)の重要な指標の1つとして炎症性サイトカインに着目し、最大限の治療効果が発揮できる、または、治療効果が打ち消される患部環境及び状態について、炎症性サイトカインを指標にして明らかにするとともに、その状態(環境)の構築方法についても検討することを目的としている。 本年度は、使用する細胞の由来組織及び種に関する検討を行った。間葉系幹細胞の由来組織はいくつか報告されているが、結果が同様であれば、入手しやすい種、組織由来の方が今後実験を行う上で利用しやすく、研究のスピードが上がる。その結果、ラット鼠径部から採取した脂肪由来のMSCで、骨分化能が低かった。この原因に関しては現時点で不明だが、今後研究を遂行するにあたり、使用する細胞の種や由来組織について念頭に置いた方が良いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度に異動した所属先が、コロナ禍およびロシア、ウクライナ問題により、研究室の運営が大きく影響を受けたことで、通常の実験を行うことが困難であった。その中でも、プレリミナリーな検証や、今後の実験、研究のシミュレーショなどを行い、通常の状態に戻った際の速度を上げた研究遂行に対して備えていた。しかし、予想以上に影響が大きく、研究室の維持および運営が大きく不安定となり、研究を中断せざるを得なかったため進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度より所属先を変更し、前年度の遅れを取り戻すのに十分な実験・研究を進められる環境を得ることができた。前年度と本年度は比較的実験が行いやすいIn vitroの実験を行う研究計画であり、さらに昨年度に十分なシミュレーション検討を行っていることから、遅れの取り戻しは十分に可能である。本年度は炎症性サイトカインが間葉系幹細胞の分化に及ぼす影響、炎症性サイトカインが間葉系幹細胞の分化に及ぼす影響の対応策について検討を行う予定である。 また、場合により研究分担者の追加も検討するなど、様々な手段で研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は所属先の影響により、主たる実験をほとんど行う事が出来ず、プレリミナリーな検証、今後の実験研究のシミュレーションを行っていたこと、さらに、次年度以降の所属先が不確定であったことなどの影響により、研究を中断せざるを得なくなり、次年度以降の使用額が生じた。次年度は、遅れを取り戻すために本年度行えなかった実験と合わせて並行して研究を遂行することを視野に入れていることから、次年度に本年度分の実験を行うための試薬や資材を購入する必要がある。また、計画した研究を予定通り遂行するため、遅れを取り戻すためにも追加での研究分担者の加入も検討している。
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