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2022 年度 実施状況報告書

骨肉腫肺転移に対する新規分子標的治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09401
研究機関岡山大学

研究代表者

中田 英二  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10649304)

研究分担者 宝田 剛志  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30377428)
尾崎 敏文  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40294459)
高尾 知佳  岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (40612429)
山田 大祐  岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50733680)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード悪性骨・軟部腫瘍 / 肺転移 / 増殖 / PRRX1
研究実績の概要

骨肉腫悪性骨・軟部腫瘍は標準治療として化学療法と手術が行われる。しかし、肺転移に対する化学療法の効果は限られ、極めて予後不良である。近年、分子標的薬が登場しているが、肺転移例の予後改善は困難で、有効な新規治療薬の開発が期待されている。転写制御因子Paired related homeobox 1(PRRX1)は、四肢骨格形成に強く関与しており、その重要性に関する報告も多い。一方で、がんの悪性化への関与も報告されており、我々は骨肉腫において、PRRX1が悪性化促進因子として機能することを明らかにした。そこで、骨肉腫など、悪性骨・軟部腫瘍におけるPRRX1の役割を解明するため、腫瘍の悪性度とPRRX1の発現量の関連性を臨床的に評価し、in vitroにおける機能解析を行った。当院にて手術を行った悪性骨・軟部腫瘍の術後検体にPRRX1の免疫染色を行い、染色強度と染色陽性細胞数から高発現群と低発現群に群分けし、PRRX1の発現とその患者の5年累積生存率、再発・肺転移との関連を評価したところ、免疫染色において、高発現群は低発現群に比べ5年累積生存率が低く、転移率が高かった。in vitroでは、レンチウイルスベクターを用いてPRRX1に対するshRNA(shPRRX1)を複数の肉腫細胞株に導入した。またPiggybac systemを用いてPRRX1をドキシサイクリン依存的に過剰発現させるヒトMPNST細胞株を樹立した。対照群(空ベクター導入群)とshPRRX1導入群間、対照群(ドキシサイクリン未処理群)とPRRX1過剰発現群(ドキシサイクリン処理群)間で増殖能、遊走能、浸潤能を比較した。またshPRRX1導入群では増殖能、遊走能、浸潤能が低下し、PRRX1過剰発現群では増殖能に変化はないが、遊走能、浸潤能が増加していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨肉腫など、悪性骨・軟部腫瘍におけるPRRX1の役割を解明するため、腫瘍の悪性度とPRRX1の発現量の関連性を臨床的に評価し、in vitroにおける機能解析を行った。当院にて手術を行った悪性骨・軟部腫瘍の術後検体にPRRX1の免疫染色を行い、染色強度と染色陽性細胞数から高発現群と低発現群に群分けし、PRRX1の発現とその患者の5年累積生存率、再発・肺転移との関連を評価した。免疫染色において、高発現群は低発現群に比べ5年累積生存率が低く、転移率が高かった。in vitroでは、レンチウイルスベクターを用いてPRRX1に対するshRNA(shPRRX1)を複数の肉腫細胞株に導入した。またPiggybac systemを用いてPRRX1をドキシサイクリン依存的に過剰発現させるヒトMPNST細胞株を樹立した。対照群(空ベクター導入群)とshPRRX1導入群間、対照群(ドキシサイクリン未処理群)とPRRX1過剰発現群(ドキシサイクリン処理群)間で増殖能、遊走能、浸潤能を比較した。またshPRRX1導入群では増殖能、遊走能、浸潤能が低下し、PRRX1過剰発現群では増殖能に変化はないが、遊走能、浸潤能が増加していることが分かった。

今後の研究の推進方策

今後は、PRRX1の機能解析として、遠隔転移のメカニズム、シグナル経路の解析を予定している。方法として、PRRX1を過剰発現やノックダウンした細胞とコントロールから遺伝子を抽出しRNA Sequencingで発現する遺伝子を比べる。コントロールに比べ発現が増加あるいは低下している遺伝子を検討し、PRRX1の発現上昇による肺転移のメカニズムの解明やPRRX1の下流シグナル経路を解析する。
また、解析されたシグナル経路と同様の動向を示す薬剤の特定を行う。特定されたEMT のmolecular markers であるN-cadherin, E-cadherin や核内のβ-catenin とWnt/β-catenin のターゲットである c-Myc.のレベルが上昇するかを検討する。またその下流シグナルと同様の動向を示す薬剤を特定する。

次年度使用額が生じた理由

予定した予算とほぼ同額の研究費を使用したが、予定よりやや低く研究費を使用した。余剰分は翌年の研究に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 悪性末梢神経鞘腫瘍においてPRRX1は転移を促進する2022

    • 著者名/発表者名
      たき平 将太
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] MPNSTの癌幹細胞性維持に対する腫瘍内のカテコラミン合成酵素の役割2022

    • 著者名/発表者名
      片山晴喜
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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