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2022 年度 実施状況報告書

低酸素下でのみ薬剤を遊離作用可能にしたプロドラッグを用いた骨肉腫治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09402
研究機関広島大学

研究代表者

古田 太輔  広島大学, 病院(医), 助教 (30781645)

研究分担者 池田 豊  筑波大学, 数理物質系, 助教 (70425734)
味八木 茂  広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
作田 智彦  広島大学, 病院(医), 助教 (60878289)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードドキソルビシンプロドラッグ / 骨肉腫 / 副作用 / 骨髄抑制 / 心臓毒性 / 妊孕性
研究実績の概要

【研究目的】
現在、悪性骨軟部腫瘍(肉腫)においてドキソルビシンは、多くの薬剤の比較試験が行われ、最も重要な薬剤であるが、ドキソルビシンは副作用が強く、骨髄抑制、心臓毒性、肝臓毒性などの重篤な副作用の軽減とより抗腫瘍効果を上げることは急務である。
【研究実施計画】我々は低酸素下で薬剤遊離するドキソルビシンプロドラッグを用いて、従来のドキソルビシンでは到達できない血流の届かない低酸素部位の腫瘍深部にまでドキソルビシンを届け、さらに血液や心臓などの酸素が豊富な部位では、薬理作用が発揮されないため、副作用が劇的に低下することを検証することとした。現在、先行研究と同様に骨肉腫担癌マウスを作成し抗腫瘍効果について検証を行っている。【結果】ドキソルビシンプロドラッグは体重減少なく、抗腫瘍効果を示す傾向にあるが、ヌードマウスとケージの確保などの問題もありN=3まで行うことができた。N=7~10まで行い有意差を検討する予定である。骨髄毒性の代表であるWBCは、ドキソルビシン8mg投与群はコントロールと比較して有意に低下しているのに対して、ドキソルビシンプロドラッグ投与群はコントロールと比較して有意差を認めなかった。さらに肝機能の指標となるAST、ALTは、ドキソルビシン8mg投与のみがすべての群と比較してして上昇していた。心筋障害の指標となるCKMB、腎毒性の指標となるCrはすべての群で有意な差を認めなかった。この血液検査により、ドキソルビシンプロドラッグは血液毒性、肝臓毒性を軽減できることが有意な差を持って軽減できることが分かった。さらにドキソルビシン投与群には心筋細胞空胞化がみられるが、ドキソルビシンプロドラッグには空胞化が見られないことより、ドキソルビシンプロドラッグは心臓毒性が少ないことが分かってきた。妊孕性の影響についても検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨肉腫担癌マウスモデルを用いた、ドキソルビシンプロドラッグの抗腫瘍効果、予後については、当初より少しおくれているが、おおむね順調な結果を得ている。一方でドキソルビシンプロドラッグの副作用についての検証は、骨髄抑制、肝臓毒性が明らかに少ないことを示すことが出来た。組織評価においても心筋細胞を観察するとドキソルビシンには見られる空砲化がドキソルビシンプロドラッグでは認めないことより、心臓毒性が少ないことが示せる。以上のことからドキソルビシンプロドラッグは、抗腫瘍効果を維持しながら副作用を軽減できることを順調に確認できてきている。

今後の研究の推進方策

骨肉巣担癌マウスモデルでのNを増やして有意差を出すことと、薬物投与後の精巣、卵巣の評価を行い、妊孕性の評価を行っていく。ある程度の結果が出たら論文作成にとりかかる。

次年度使用額が生じた理由

マウスの実験が少し遅れたため、次年度にマウス購入を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ドキソルビシンプロドラッグを用いた骨肉腫治療の確立2022

    • 著者名/発表者名
      古田太輔、作田智彦、安達伸生、池田 豊
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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