• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

関節リウマチで炎症が起こるのはなぜか?血管内皮に着目した関節内微小環境改善の試み

研究課題

研究課題/領域番号 22K09411
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

前田 和洋  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50548849)

研究分担者 吉田 健  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20398796)
大谷 一博  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60801298)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード関節リウマチ / 炎症性サイトカイン / 破骨細胞 / 滑膜線維芽細胞 / Wnt
研究実績の概要

破骨細胞は骨を吸収する際、細胞骨格の再編成により、アクチンリングと呼ばれる構造が形成される。アクチンリングの形成を阻害すると、前駆細胞から破骨細胞へと分化が進行しても、本来の破骨細胞の機能を発揮できない。これまで、Wnt5aの下流で活性化するキナーゼがアクチンリングの形成に重要であることを報告されている。関節リウマチ(RA)滑膜にはWnt5aが過剰に発現しているとの報告があることから、RAによる骨破壊を抑制する目的で、RAモデルに対し本キナーゼを阻害する実験を行った。阻害剤投与群では、コントロールと比較し、①マイクロCT解析で骨びらんは減少し、②組織切片上で骨関節破壊は抑制され、③骨形態計測では破骨細胞面が減少した。④関節炎スコア、炎症細胞の浸潤、および炎症性サイトカインの発現は両群間に差を認めなかった。この阻害剤の作用機序をさらに解明するために、膝関節を含む脛骨から抽出したRNAを用いRNA-seq解析を行った。その結果、CIA発症で上昇し、阻害剤投与で減少する16遺伝子が抽出された。抽出された遺伝子は、炎症に関連するものはなく、軟骨破壊に関与する遺伝子がいくつか含まれていた。本キナーゼは、RAの病態下で炎症よりも軟骨破壊に寄与する可能性が考えられた。現在、RNA-seq解析で得られたデータをもとにIngenuity Pathway Analysis(IPA)解析を行い、これらの遺伝子の制御機構を解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

線維芽細胞株に炎症性サイトカインを添加することにより上昇する、軟骨破壊に関わる分子が、キナーゼ阻害剤で抑制されるかどうかを検討した。線維芽細胞株に炎症性サイトカインを添加しても、軟骨破壊に関わる分子は上昇しなかった。細胞株を用いin vitroで、RAの関節内の環境を模倣した実験系を構築することは困難であった。

今後の研究の推進方策

RAモデルを再度作製し、関節より滑膜を分離し、ex vivoの実験で炎症性サイトカイン、本キナーゼ、軟骨破壊因子の関係を解明していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

in vitro実験で思ったようなデータが出ず、先に進めなかったため。来年度は前述のようにex vivo実験を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Comparison of Bone Evaluation and Metal Artifact between Photon-Counting CT and Five Energy-Integrating-Detector CT under Standardized Conditions Using Cadaveric Forearms2024

    • 著者名/発表者名
      Fukuda T, Yonenaga T, Akao R, Hashimoto T, Maeda K, Shoji T, Shioda S, Ishizaka Y, Ojiri H.
    • 雑誌名

      Diagnostics

      巻: 14 ページ: 350

    • DOI

      10.3390/diagnostics14040350

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Variations in the Extensor Pollicis Brevis-Extensor Pollicis Longus Tendon Complex.2024

    • 著者名/発表者名
      Nishimura R, Hashimoto T, Yano T, Bo H, Maeda K, Okabe M, Miyawaki T.
    • 雑誌名

      Cureus.

      巻: 16 ページ: e52249

    • DOI

      10.7759/cureus.52249

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「関節リウマチにおけるWnt5a-Ror2-Pkn3経路の役割」2023

    • 著者名/発表者名
      前田和洋 上原俊介 吉田健 大谷一博 山下祐 岡部陽菜子 羽田野佑香 黒坂大太郎 宇田川信之 南康博 小林泰浩 斎藤充
    • 学会等名
      第8回日本骨免疫学会
  • [備考] 東京慈恵会医科大学整形外科学講座

    • URL

      http://jikeiseikei.com/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi