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2023 年度 実施状況報告書

術後感染の予防を目的とした安全性の高いフッ素加工抗菌インプラントの確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K09412
研究機関金沢医科大学

研究代表者

藤井 正文  金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50778321)

研究分担者 川口 真史  金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60634574)
川原 範夫  金沢医科大学, 医学部, 教授 (70214674)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード抗菌性部材 / フッ素添加ダイヤモンドライクカーボン / フッ素イオン
研究実績の概要

I.MRSA,緑膿菌,カンジダに対するフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌効果:フッ素濃度33%のフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌活性値は、MRSA、緑膿菌に対して4以上あり十分な抗菌性を示した。カンジダに関してはコロニー数のカウントが困難であり、別な評価方法を検討する必要があると判明した。
Ⅱ.フッ素溶出試験:フッ素濃度24%、33%のフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンで実験を行った。いずれもフッ素イオンの溶出は、浸漬開始時が多く12週までに急激に減少し、36週まではフッ素イオンの溶出は確認できたが、その後は検出が不能となった。フッ素イオンの溶出は、フッ素濃度24%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンが33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンに比べて、フッ素イオンの溶出が多かった。原因としてはコーティングの条件が僅かに異なったことで、33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボン試料のフッ素イオンの総量が減少したのではないかと考える。
Ⅲ. フッ素溶出試験後の検体での抗菌試験:フッ素濃度33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンで実験を行った。浸漬4週では、黄色ブドウ球菌、大腸菌に対し抗菌活性値がそれぞれ2.4、3.5と抗菌性を示したが、浸漬12週では抗菌活性値はそれぞれ2.3、0.3と大腸菌に対する抗菌性は消失していた。フッ素イオンの溶出が経時的に低下していくことが、抗菌性の消失の原因であると考えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Ⅰ.MRSA,緑膿菌,カンジダに対するフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの抗菌効果:概ね終了したが、カンジダに関してはコロニー数のカウントが困難であり、今後の研究で別な評価方法を検討する。
Ⅱ.フッ素溶出試験:フッ素イオンの溶出は、フッ素濃度24%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンが33%フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンに比べて、フッ素イオンの溶出が多い原因は基材からコーティング表面までのフッ素を含む層の厚さが予定通りのものが得られていない可能性がある。コーティングの電圧やガス濃度など条件の再設定と完成品の評価を行う必要性がある。
Ⅲ.フッ素溶出試験後の検体での抗菌試験:これまで行った予備実験の結果とは異なり、12週と比較的早い段階での抗菌性の消失を認めた。これもフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層の厚さや膜内でのフッ素濃度勾配などが原因している可能性がある。条件を再設定する必要があると考えた。

今後の研究の推進方策

フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンを用いた膜の構成に関して、抗菌性を担保するためにはフッ素濃度が十分に保たれたフッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層が必要であるが、フッ素濃度が高いと摩擦に弱く骨内インプラントに被膜するには強度が保たれない。そこで、基材のエッチングからダイヤモンドライクカーボン膜、フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンと順番に被膜してあるが、強度を重視するあまり、フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンの層が薄くなったり、フッ素濃度勾配に問題が生じ、目論見通りの期間の十分な抗菌性が得られない場合がある。そこで、基材の表面の凹凸などを利用しながら、強度と抗菌性のいずれもが担保できる膜の条件を今一度検討するつもりである。

次年度使用額が生じた理由

インプラントの作製とコーティングのやり直しが生じ、実験が遅延したため未使用額が生じた。次年度にはフッ素濃度や膜の厚みについてさらに改良を進める必要があるためこれらの実験に使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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