研究課題/領域番号 |
22K09415
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小林 英介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (40365292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肉腫 / 脱分化 / MDM2 |
研究実績の概要 |
近年は肉腫の遺伝子診断に基づく疾患概念が確立し、治療開発には正しい診断が求められる。軟部肉腫で最も多い脂肪肉腫の1つ脱分化型脂肪肉腫では2q14-15 (MDM2/ CDK4)の遺伝子増幅が関わっており、診断に有用である。一方で我々は脂肪肉腫成分を全く有さない未分化肉腫における同様の遺伝子増幅の存在に注目しており、これらをMDM2-amplified soft tissue peripheral sarcoma(MSPS)と仮称した。これが脱分化型脂肪肉腫か別の新規疾患概念であるのかに関しては極めて希少ながん(Ultra rare cancer)のために定義が確立しておらず、予後に関する状況も不詳である。今回我々はMSPSが新規疾患概念である可能性を念頭におき、その証明のために臨床学的検討および遺伝子レベルでの比較解析を行うことでMSPSの新たな疾患概念としての確立および、MDM2や脱分化を標的とした新規治療開発に繋げることが目的とした研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度は臨床検体の抽出、臨床学的な治療成績の検討を行っており、計画通りに進行している。MSPSを当院のアーカイブより渉猟し、現在までに15例を後方視的に抽出している。MSPSに加えて四肢末梢に発生した脱分化型脂肪肉腫、MDM2陰性の未分化多形肉腫を当院のアーカイブより渉猟し、病理分子学的検討および臨床学的解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はゲノム解析可能なMSPSの試料同定、DNA/RNA抽出、ゲノム解析を進めていく。過去に解析した脱分化型脂肪肉腫のゲノムデータとの比較検討し、新規疾患概念としての確立をっ検討する。比較検討の結果、同定した分子がMSPSの診断や治療のバイオマーカー候補になりうるかの検討を行い、その妥当性を検討する。MSPSは極めて希少ながんであるが、MDM2/CDK4の遺伝子増幅があり、それ標的とした阻害剤による脱分化型脂肪肉腫の治験に加えることでさらなる治療開発を進められる可能性があり、非常に有望であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の助成金を次年度の高騰する物品費や旅費の補助として計画することを予定している
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