研究実績の概要 |
本研究では、Muse細胞の特性の違いを生かし、慢性期脊髄損傷モデルにグリア瘢痕除去を目的とした脂肪由来Muse細胞の損傷部への直接投与を行い、その後、損傷組織への遊走を目的とした骨髄由来Muse細胞を経静脈投与し、神経組織修復効果が得られるかを検証することが目的である。本年度は以下の成果を得た、In vitroで脂肪由来のMuse細胞と骨髄由来Muse細胞のポテンシャルを比較した。マイクロアレイ解析により、脂肪由来Muse細胞はグリア瘢痕形成抑制関連遺伝子であるNeurod4、BDNF、PTN、Midkine、NGF、FGF2が多く発現し、骨髄由来Muse細胞は遊走能関連遺伝子であるS1PR2、CXCR4がより多く発現する結果を得た(Nagaoki T, Kumagai G, Journal of Neurotrauma, 2023 Accepted)。In vivoで両者の細胞を損傷脊髄急性期に投与したところ、脂肪由来Muse細胞移植群は損傷脊髄の抗炎症作用を示すことが明らかとなった(Nagaoki T, Kumagai G, Journal of Neurotrauma, 2023 Accepted)。また脊髄損傷急性期の炎症のメカニズムの解析とその治療薬としてEtizaramの投与効果に関して解析し、Etizoramは抗炎症作用があることが明らかとなった(Saruta K, Kumagai G, Neyrotrauma Report 2023公表)。現在以下の検討を行っている、4週齢C57BL/6マウスの脳海馬から採取した神経組織からアストロサイトを培養し、培養皿上でScratch injuryを加えることで、グリア瘢痕のIn vitroモデルを作成する。その後、脂肪及び骨髄由来Muse細胞/Non-Muse細胞との共培養を行い、グリア瘢痕除去効果と遊走能を比較検証する。
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