研究課題/領域番号 |
22K09444
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石井 健一朗 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90397513)
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研究分担者 |
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10295545)
中川 泰久 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 准教授 (40726949)
渡邉 昌俊 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90273383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前立腺がん / アンドロゲン感受性 / サブクローン / アンドロゲン受容体関連遺伝子 / 一塩基変異 |
研究実績の概要 |
前年度に同定した、アンドロゲン低感受性クローンF10に特異的な一塩基変異(SNV)を有するアンドロゲン受容体(AR)関連遺伝子4つについて、アンドロゲン感受性ヒト前立腺がんLNCaP細胞から樹立した、アンドロゲン感受性が異なる3つのサブクローンE9, F10, G4におけるmRNA発現量を比較検討した。TaqMan probeを用いたリアルタイムPCR解析の結果、SNVを有するAR関連遺伝子4つのうち2つは、アンドロゲン感受性が高いLNCaP細胞とG4細胞に比較して、F10細胞と、SNVが認められなかったE9細胞というアンドロゲン低感受性クローンにおいてmRNA発現量が低いことを確認した。さらに、SNVを有する個々の遺伝子と強く関連する遺伝子のmRNA発現量も比較検討した結果、SNVを有する遺伝子と同じ発現パターン、すなわちF10細胞だけでなくE9細胞でもmRNA発現量が低いことを確認した。 以上の結果より、F10細胞でのみSNVが認められたAR関連遺伝子だけの影響で前立腺がん細胞のアンドロゲン感受性が規定されているのではない、と推察された。また、SNVはF10細胞でのみ認められたものの、当該遺伝子のmRNA発現量はE9細胞でも低いことから、SNVの有無はAR関連遺伝子mRNA発現量に影響していない可能性が示唆された。そのため、次年度は2つのAR関連遺伝子と、それぞれに強く関連する遺伝子の発現調節がmiRNAに制御されていると仮定し、AR関連遺伝子と、その関連遺伝子の発現への関与が報告されているmiRNA発現量を比較検討する予定である。これらの検討を終えることで、前立腺がん細胞のアンドロゲン感受性を規定するmiRNAを同定し、針生検組織での発現・局在を視覚化することで、病理診断時にホルモン療法が効きにくく、再燃し易い患者を予測可能な病理組織学的検査法の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初からの研究計画であったエクソーム解析から一塩基変異を有するアンドロゲン受容体関連遺伝子を抽出し、3つのサブクローンにおけるmRNA発現量を比較検討した。アンドロゲン低感受性の2つのサブクローンに共通してmRNA発現量が低い遺伝子2つを選択し、それぞれの遺伝子と強く関連する遺伝子のmRNA発現量も検討した結果、一塩基変異を有する遺伝子と同じ発現パターンであることまで確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、一塩基変異を有するアンドロゲン受容体関連遺伝子と、それに強く関連する遺伝子のmRNA発現を制御する因子としてmiRNAの役割に着目した研究を計画している。これらの検討により、前立腺がん細胞のアンドロゲン感受性を規定するmiRNAを同定し、針生検組織での発現・局在を視覚化することで、病理診断時にホルモン療法が効きにくく、再燃し易い患者を予測可能な病理組織学的検査法の開発を目指す。
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