研究課題/領域番号 |
22K09445
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
沖中 勇輝 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90780718)
|
研究分担者 |
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (90240952)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
窪田 成寿 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80759118)
永澤 誠之 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30750525)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 癌悪液質 |
研究実績の概要 |
癌悪液質は進行がん患者の多数が至り、QOL・予後に大きく関わる重要な臨床的課題である。しかし病態・引き起こす機序の理解は不十分であり、治療法も有効性のあるものは乏しい。これには癌悪液質という病態が多岐にわたる要因に由来することが関連するものと考えられる。これまで代謝異常の是正や筋萎縮の改善ということをターゲットに種々の治療が試みられてきたが、確実な治療法は存在していない。そこで我々は今回、悪液質が中枢での炎症を引き起こすという新たな視点より、新規メカニズムの同定・治療法を開発することを目指す。まず従来より悪液質モデルとして我々が用いている、免疫不全マウスにヒト繊維芽肉腫細胞 (HT1080)を移植したモデルに関して詳細に中枢の評価を行った。遺伝子発現において一部のサイトカインにおいて変動を認めるも、多くはこれまでの脳内炎症の報告とは異なり変動を認めなかった。免疫染色において、より詳細に脳内炎症に関わる各種細胞の分布、形態の変化の確認を行ったが、非癌モデルにおける脳内炎症で認められる変化は認めなかった。このことより癌悪液質において、これまでの非癌モデルにおける脳内炎症の機序とは異なる変化をきたしているものと考えている。その一方で他の中枢性疾患モデルで認める分子・細胞レベルの変化が起こっていることを見出した。まずは癌悪液質における中枢レベルで変化を来たす機序に関して同定を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、癌悪液質モデルにおいてもはこれまでの脳内炎症の報告と同様の変化を来しているものと考えていた。しかしながら一部は同様の変化を来す一方で、一部は異なる中枢レベルの変化を来していることがわかった。一方で他の中枢性疾患で認める分子・細胞レベルの変化が悪液質モデルにおいても起こることが同定できており、今後詳細にその機序の検討を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
上述の通り癌悪液質における中枢での変化は非癌モデルにおける脳内炎症の機序とは異なるものと考えている。一方で現在、悪液質特有の分子・細胞レベルでの変化も同定できており、詳細に中枢での変化を来す機序の同定を行っていく。その上で今後泌尿器癌モデル動物において同様の変化を来すか否かの確認を行い、ヒト試料を用いた検討へと繋げていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予想された遺伝子発現での変化や分子・細胞レベルでの変化とは異なるものであった。そのため、測定試薬や動物等において次年度に測定試薬・機器に用いるための使用を予定している。
|