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2022 年度 実施状況報告書

新規抗CLDN10モノクローナル抗体を活用した腎癌悪性形質制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09453
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

小名木 彰史  福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70894385)

研究分担者 杉本 幸太郎  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40791009)
星 誠二  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70813137)
胡口 智之  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40791950)
片岡 政雄  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90554204)
小島 祥敬  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード腎癌 / バイオマーカー
研究実績の概要

近年偶発的に指摘される腎腫瘍の増加に伴い、腎癌の罹患率は増加傾向にある。早期癌であれば予後は良好であり手術で根治を期待できる一方で、転移再発例においてはサイトカイン療法、チロシンキナーゼ阻害剤やmTOR阻害剤などの分子標的薬治療、ならびに免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法が実施可能となったが、依然として予後は不良である。よって再発リスクが高い症例を診断時から予測できる分子マーカーの開発や、分子標的薬を含む新規治療法の開発が必要とされている。申請者らはこれまで細胞間接着分子クローディン・ファミリー(Claudins; CLDNs)に対する特異性の高いモノクローナル抗体を開発し、診断マーカーとしての有用性を証明するとともに、CLDNsによるがん悪性形質制御機構を解明してきた。腎癌ではCLDN10が異常発現し、予後と関連することがmRNAレベルで示されている。ところがCLDN10は優れた特異抗体が開発されておらず、蛋白質レベルの発現解析や腫瘍細胞における機能解析は達成されていなかった。本研究では申請者らが独自に開発した抗CLDN10モノクローナル抗体を用いて、腎癌におけるCLDN10発現を蛋白質レベルで検証して予後予測マーカーとしての有用性を明らかにすると共に、腎癌細胞におけるCLDN10の悪性形質制御機構を分子生物学的に解析し、新規治療標的としての可能性を検証することを目的とした。病理組織標本を用いた臨床病理学的解析では、CLDN10発現は独立した予後因子であることが明らかになった。また、分子生物学的検討においては、CLDN10過剰発現株は野生株よりも増殖能や遊走能が亢進する可能性が示唆された。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

新規開発した抗CLDN10モノクローナル抗体を用いて、本学附属病院ならびに協力医療機関に保存された、転帰の判明している淡明細胞型腎細胞癌の手術標本200症例に対して免疫染色を行った。各検体に対して染色強度を3段階、陽性率を4段階に分け、それらを乗じて総合スコアを算出するIRS法で発現量を半定量評価した。免疫染色の結果からカットオフ値を算出し、CLDN10高発現群、低発現群の2群間において臨床病理学的因子、生存率、再発率、および薬物療法奏効率などとの関連を統計解析したところ、腎癌におけるCLDN10発現は独立した予後因子であることが明らかになった。
腎癌細胞株ACHN、 786-0、 OSRC-2、 Caki-1、 3-TKB 、 4-TKBなど複数のヒト腎癌細胞株について、ウエスタンブロットと蛍光免疫染色によりCLDN10の発現プロファイルを解析したところ、CLDN10はいずれの細胞株でも低発現であった。よって、786-O、Caki-1、ACHNについてレンチウイルス発現システムを用いた遺伝子導入により過剰発現の機能獲得(gain of function)株を樹立した。これらについて増殖能(EdUラベリング)、遊走能(創傷治癒アッセイ)、浸潤能(マトリゲル浸潤チャンバー)などを比較したところ、CLDN10過剰発現により悪性形質が亢進する可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

CLDN10過剰発現が、腎癌に対して腫瘍促進的に働く可能性が考えられたため、更に、免疫不全マウスを用いた担癌実験を行いin vivoでの作用も評価を予定している。CLDN10過剰発現株と野生型について、RNAシークエンスでトランスクリプトームを比較してバイオインフォマティクス解析することにより、CLDN10発現の多寡あるいは有無によって変化する遺伝子群を抽出する。またクロマチン免疫沈降やメチル化解析(バイサルファイトシークエンス)を併用することで、CLDN10シグナルが最終的にどのような遺伝子群をどのような仕組みで制御するのか明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本研究計画と一部が共通する内容を含む研究計画(学術的意義は異なるが、必要な物品や細胞系などが共通している)が民間財団による研究支援事業に採択され、その使用期限が2021年度中であったため優先して支出した。残額は翌年度のメチル化解析などで使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 腎細胞癌におけるClaudin-10の分子病理学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      小名木彰史、杉本幸太郎、小林信、小島祥敬、千葉英樹
    • 学会等名
      第112回日本病理学会総会
  • [学会発表] 腎細胞癌におけるClaudin-10の臨床病理学的・分子病理学的解析2022

    • 著者名/発表者名
      小名木彰史、杉本幸太郎、小林信、小島祥敬、千葉英樹
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会

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公開日: 2025-12-26  

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