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2023 年度 実施状況報告書

腸内細菌叢の改善による反復性膀胱炎の新たな予防法と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09473
研究機関岡山大学

研究代表者

石井 亜矢乃  岡山大学, 大学病院, 准教授 (00423294)

研究分担者 岩田 健宏  岡山大学, 大学病院, 助教 (00803082)
村上 圭史  川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10335804)
狩山 玲子  岡山学院大学, 人間生活学部, 教授 (40112148)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード反復性膀胱炎 / 腸内細菌叢 / 栄養食事指導 / 次世代シーケンサー / バイオフィルム
研究実績の概要

1. 2023年度も健常者と非反復性膀胱炎患者および反復性膀胱炎患者の膣・腸内細菌叢について次世代シーケンサーによる解析を行うために臨床研究を行った。反復性膀胱炎患者7例で膣・直腸サンプルの全ゲノム配列を次世代シーケンサーにより決定し細菌叢の解析を行った。解析結果を上位から3つずつ示すと、直腸ではBacteroides属、Faecalibacterium属、Prevotella属、膣ではBifidobacterium属、Lactobacillus属、Escherichia属であった。
2. 反復性膀胱炎患者に対する新たな臨床研究で用いる食事調査法の検討を継続しており、2023年度は患者の食生活状況把握に用いる食事調査の項目について、具体的な検討を行った。食事調査は習慣的な食事を把握できるBDHQ(簡易型自記式食事暦法質問票)とそれでは把握しきれない腸内細菌叢改善に関係する食品等の摂取状況、特にプロバイオティクス、プレバイオティクス観点から発酵食品と発酵性食物繊維含有食品の摂取状況(計23項目)を主要な追加調査項目として取り上げることにした。
3. 反復性膀胱炎患者、非反復性膀胱炎患者、非膀胱炎患者由来株の大腸菌を用いて、病原遺伝子の保有状況をmultiplex PCRで検討した。各群での保有状況に大きな違いは認めなかった。セファマイシン系抗菌薬のセフォキシチンに対する最小発育濃度(MIC)についても差は認めなかった。96ウェル平底プレート底面に細菌を付着させ、付着菌の最小発育濃度(MICAD)と最小殺菌濃度(MBCAD)を測定し、MBCAD/MICADを検討したところ、反復性膀胱炎患者由来株ではセフォキシチンに対し16の株が最も多く、他の群では60%が4であり、反復性膀胱炎患者由来株ではセフォキシチンに対し抗菌薬抵抗性を有していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

健常者、非反復性膀胱炎患者、反復性膀胱炎患者での膣・腸内細菌叢についての臨床研究はおおむね順調に進んでいる。2023年度は反復性膀胱炎患者に栄養食事指導を行い、その前後の膣・腸内細菌叢の変動を次世代シーケンサーによる解析結果に基づいて検討する新たな臨床研究について申請する予定であったが、まだ申請できていない。栄養食事指導時に使用する食事調査法についてさらなる検討を重ねた。
in vitro実験は、おおむね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

1. 2023年度に行った閉経後女性における反復性膀胱炎患者と非反復性膀胱炎患者および健常者との膣・腸内細菌叢の比較検討の臨床研究は、引き続き2024年度も継続し、次世代シーケンサーにより得られたデータ(全ゲノム配列)を解析する。
2. 2024年度は、反復性膀胱炎患者に栄養食事指導を行い、その前後の膣・腸内細菌叢の変動を次世代シーケンサーによる解析結果に基づいて検討する新たな臨床研究を立ち上げる。
3. in vitro実験系を用いて、セフォキシチンだけでなく、カルバペネム系のメロペネムなど、他の抗菌薬に対する抗菌薬抵抗性についても検討を行う。また、バイオフィルム形成能については、培地の種類、培養温度、ペグバイオフィルム、フローセルバイオフィルム系など様々な条件で検討を行い、反復性膀胱炎の原因となる病原因子については検討を継続する。非反復性膀胱炎患者由来株、非膀胱炎患者由来株の大腸菌については、菌株数をさらに増やして検討する。さらに、全ゲノムシークエンスの結果も参考にして、抗菌薬抵抗性や反復性膀胱炎に関連する病原因子に繋がる遺伝子についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

新たな臨床研究が開始できず、予定していた物品費や研究成果発表のための学会や研究会への出張旅費に費用を要しなかった。
2024年度に新たな臨床研究を立ち上げ、消耗品費としてDNA研究用試薬・器具類、フローセル用部品、形態観察用蛍光試薬、細菌培養用培地・シャーレ、ボトル・チューブ・チップ類、その他試薬・器具類を購入する。また、研究成果発表のための学会や研究会への出張旅費に使用する。その他、次世代シーケンサーにより得られたデータを解析する費用にあてる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Etiology of recurrent cystitis in postmenopausal women based on vaginal microbiota and the role of Lactobacillus vaginal suppository2023

    • 著者名/発表者名
      Sekito Takanori、Wada Koichiro、Ishii Ayano、Iwata Takehiro、Matsubara Takehiro、Tomida Shuta、Watanabe Masami、Araki Motoo、Sadahira Takuya
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 14 ページ: 01~09

    • DOI

      10.3389/fmicb.2023.1187479

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Exploration of the protein-dependent mechanism of Lactobacillus crispatus GAI98322 to prevent recurrent cystitis2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Tomofumi、Sadahira Takuya、Hirakawa Hidetada、Huang Peng、Zhou Tianyun、Iwata Takehiro、Sekito Takanori、Ishii Ayano、Watanabe Masami、Araki Motoo
    • 雑誌名

      Journal of Infection and Chemotherapy

      巻: 29 ページ: 1001~1004

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2023.06.013

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 腸内細菌叢改善による反復性膀胱炎予防に向けた栄養食事指導のための食事調査法の検討(2)2023

    • 著者名/発表者名
      内田雅子,佐藤幸枝,狩山玲子,石井亜矢乃
    • 学会等名
      第70回日本栄養改善学会
  • [学会発表] 反復性膀胱炎の新規予防法の開発:膣を標的とした治療介入2023

    • 著者名/発表者名
      関戸崇了,定平卓也,丸山雄樹,岩田健宏,石井亜矢乃,渡辺豊彦,荒木元朗
    • 学会等名
      第110回日本泌尿器科学会総会
  • [学会発表] 膣細菌叢解析による反復性膀胱炎への乳酸菌膣坐剤の効果の検証2023

    • 著者名/発表者名
      丸山雄樹,定平卓也,岩田健宏,石井亜矢乃,和田耕一郎,荒木元朗
    • 学会等名
      第97回日本感染症学会総会・学術講演会 第71回日本化学療法学会学術集会合同学会
  • [学会発表] 閉経後の反復性膀胱炎を有する女性における尿および膣内の大腸菌の相同性の比較2023

    • 著者名/発表者名
      関戸崇了,定平卓也,岩田健宏,富永悠介,片山 聡,西村慎吾,枝村康平,小林知子,小林泰之,石井亜矢乃,渡部昌実,渡辺豊彦,荒木元朗
    • 学会等名
      第75回西日本泌尿器科学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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