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2022 年度 実施状況報告書

ヒトゲノム内在性ウイルス配列によるX精子運動能制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09474
研究機関広島大学

研究代表者

林 哲太郎  広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (60612835)

研究分担者 野村 俊仁  広島大学, 病院(医), 助教 (00882060)
小畠 浩平  広島大学, 病院(医), 助教 (10749998)
池田 健一郎  広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50624863)
坂口 剛正  広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70196070)
大毛 宏喜  広島大学, 病院(医), 教授 (70379874)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード内在性ウイルス配列 / TLR7/8 / レトロトランスポゾン
研究実績の概要

ヒトゲノムの約8%は「内在性ウイルス配列」で占められており、生物は感染したウイルス遺伝子をゲノムに組み込むことで進化してきたと考えられる。一方で、「内在性ウイルス配列」の生体内での機能はほとんど解っていない。哺乳類の性別は、X染色体とY染色体によって決定され、受精時に卵とX染色体をもつ精子(X精子)が受精することで雌(XX)に、Y染色体をもつ精子(Y精子)と受精することで雄(XY)となる。TLR7/8はRNAウイルスの受容体で、X精子に発現しY精子で発現が無く、精子の運動能に関与する。私たちは、TLR7/8がウイルスを感知することでX精子の運動能が低下することを利用して、ウイルス配列のX精子への作用を調べ、「内在性ウイルス配列」の生殖能への影響を解明することを目的としている。
精子の培養と運動能の評価を行うとともに、TLR7/8のアゴニストであるR848と、TLR7単独のアゴニストであるR837を用いた実験を行なった。条件設定として腎癌細胞株Caki-1, caki-2でR848とR837のアゴニストとしての効果をリン酸化NFkBやリン酸化GSK3a/bの発現変化で評価した。精巣腫瘍や前立腺癌での精巣摘除術の精巣標本を用い、精巣内の精母細胞から精子まで免疫組織科学的検討を施行した。ボランティア並びに精液検査検体を用いた蛍光免疫染色での精子のTLR7/8の発現とその局在を評価できる状態となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト精子の入手、培養条件の設定に時間がかかり、ヒトX精子でのTLR7/8の局在同定に進めていない。TLR7/8の薬理学的リガンドを用いたヒトX精子とY精子の運動能評価においても、適切なタイミングでの評価が難しく、精子の入手が困難なこともあり、繰り替えしの研究が遅れている。

今後の研究の推進方策

精子は、凝集した核を有する“頭部”と、エネルギーであるアデノシン3リン酸(ATP)を生産するミトコンドリアを数多く含む“中片部”、精子の運動を制御する“尾部”から構成されるが、マウスX精子ではTLR7は尾部、TLR8が中片部に存在している。一方で、ヒトX精子でのTLR7/8の局在は調べられておらず、免疫染色法とImmuno-FISH法を用いて、ヒトX精子でTLR7とTLR8の局在を同定することが第一優先の研究である。
次に、ヒトX精子とY精子に対して、TLR7/8のアゴニストであるR848と、TLR7単独のアゴニストであるR837を用いて、ヒト精子におけるTLR7とTLR8の各々の機能的特性を評価する。マウス精子ではTLR7/8の局在と、ATP産生低下に伴う運動能低下が報告されており、X精子の運動能だけでなくTLR7の下流シグナルとしてリン酸化NFkBやリン酸化GSK3a/bの発現変化でもTLR7/8の発現と機能を評価する。さらに、外因性のウイルスとしてはB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)、非レトロウイルス型の内在性ウイルス配列としてボルナ病ウイルスとヒトヘルペスウイルス6(HHV-6AとHHV-6B)をヒト精子と共培養して、X精子とY精子の運動能やTLR7の下流シグナル(リン酸化NFkBやリン酸化GSK3a/bの発現)の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

運動している精子を用いたTLR7/8のアゴニストであるR848と、TLR7単独のアゴニストであるR837を用いた運動能の評価を予定していたが、施行できなかった。また、蛍光免疫染色も予定通りに行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。

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公開日: 2023-12-25  

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