研究課題
本研究では EV 耐性尿路上皮癌(UC) 細胞株における mRNA シーケンスやマイクロ RNA の発現プロファイルに基づく解析に加えて、メタボロミクス解析や新しいゲノム編集技術である CRISPR ライブラリーを EV 耐性 UC 細胞に導入して解析し、これら多くのデータベースから多面的アプローチを行い、EV 耐性機序研究の位置づけを行う。さらに核心的な EV 耐性機序を明らかにし、その経路を遮断する既存薬によるドラッグリポジショニングの可能性を探る。2022年度はEV耐性UC 細胞株の樹立を計画した。EV本体は入手が不可能であり、その抗癌剤成分であるmonomethyl auristatin E (MMAE)を培養細胞(T24、J82、UMUC)に添加して徐々にその濃度を上昇させている。MMAE自体は細胞毒性が強いため、漸く1年経って耐性株を樹立できた。まもなくEV 耐性UC細胞株の mRNAシーケンス・メタボロミクス・マイクロ RNA シーケンス解析による EV 耐性関連遺伝子およびタンパクの同定による活性化シグナル経路の検討を行う予定である。これに先立ち薬剤耐性に関する予備的研究を行った。癌抑制的microRNA-99a-5pはクロマチンリモデリング複合体であるSMARCD1癌遺伝子を直接制御していることを発見した。SMARCD1癌遺伝子は細胞老化を抑制するが、Gemcitabine耐性UC細胞株ではmicroRNA-99a-5pの発現が低下しており、細胞老化が強く抑制されていることを証明した。microRNA-99a-5pやSMARCD1はUCの新たな治療標的として有望と思われた。このようなマイクロ RNA シーケンス解析による癌抑制的マイクロRNAを関したUCの増殖・進展機序の解明をEV耐性UC株においても進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
MMAE耐性膀胱癌細胞株の樹立がほぼ終了して、今後解析の予定である。
EV 耐性尿路上皮癌(UC) 細胞株における mRNA シーケンスやマイクロ RNA の発現プロファイルに基づく解析に加えて、メタボロミクス解析や新しいゲノム編集技術である CRISPR ライブラリーを EV 耐性 UC 細胞に導入して解析し、これら多くのデータベースから多面的アプローチを行い、EV 耐性機序研究の位置づけを行う。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Molecular Oncology
巻: 16 ページ: 1329-1346
10.1002/1878-0261.13192.