研究課題/領域番号 |
22K09479
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
湯村 寧 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (30522023)
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研究分担者 |
濱上 知樹 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30334204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 精子 / 生殖補助医療 / 顕微受精 / 人工知能 / 機械学習 / 検証 |
研究実績の概要 |
わが国では現在年間13万件以上の顕微受精が行われている。顕微受精の成績は胚培養士が選別する精子の状態に依存する。精子の選別方法、基準については明確なエビデンスはなく胚培養士の経験と知識に大きく依存する。そのため、顕微受精での施設間・地域間の格差が生じる可能性もある。 申請者は横浜国立大学工学部 濱上らの協力を得て胚培養士の知識・経験を人工知能に学習させ、培養士のいう「良好精子」の物理的特徴を分析と各精子に格付け(Grading)を行うシステムを作製した。このシステムと実際の胚培養士の評価の一致度はおよそ90%程度を達成しており、現在さらに精度をあげるべく分析・研究を進めている。 しかしこのシステムでは良好と判断された精子が妊娠に寄与するのかを確認できず、実際に妊娠に寄与できるのかは不明のままである。今回我々は本システムを搭載した測定器を作成して、測定器が選んだ精子(胚培養士にはGradeは知らせない)によってできた受精卵が良好な胚になるのかを検証することを目的としている。 本システムで選んだ精子による治療成績を担保することで顕微受精時の胚培養士補助システムの開発・胚培養士間の技術格差改善、そして胚培養士教育、男性不妊診療・研究への応用を目指す。 現在、測定器(アプリケーション)を開発してくれる企業も見つかり、まずは開発を行っている。アプリケーションの開発後本研究に着手してゆく予定である。またアプリケーション開発の進捗状況をみながら学内倫理審査を申請してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在研究に必要な人工知能補助による測定器を開発する企業との調整が遅れており、(企業自体は見つかって現在調整中)測定器自体が完成していない状況です。R5年度中の完成を目指しています。
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今後の研究の推進方策 |
測定器の開発後に1)申請者が患者から同意を取り、当センターで顕微授精時に卵に注入した精子の映像を当院の胚培養士が撮影する。この時点で精子のGradeは不明のままである。2)当センターにおいて注入した精子の映像ごとに番号をつけて記録しておく。3)記録された精子の映像を横浜国大工学研究院に送付し人工知能による解析可能な状態にしたのち精子ごとにGradeをつける。4)精子のGradeを記録しその精子を注入した卵の予後を追跡し受精率・良好胚発生率・流産率・生産率と突合、成績を調査する。 という方法を検討していたが、当院でも受精卵を継時的に追跡できる「タイムラプス」が導入されたため、ここで良好胚盤胞へ育つかを確認する方法で検証することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者である横浜国立大 濱上研究室では本測定器の精度を上げる研究はすすめていたが本学の方は企業との連携を取るのが遅かったため、とくに動きはなかった。来年度には測定器(アプリケーション)は完成見込みのため、そこから研究を再開したい。
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