研究課題
常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease; ADPKD)は約1,000人に1人と最も頻度が高い遺伝性腎疾患である。末期腎不全にいたるのは約半数であり、適切なリスク分類による重症度判定は、患者の治療方針決定のため欠かせない。さらに本邦ではADPKDの難病指定に重症度判定が必須だが、現在はCKD重症度分類と腎容積およびその増大速度が使われているため、きわめて不適切である。海外からはリスク分類としてメイヨークラス分類とPRO-PKDスコアが報告されているが、いずれも日本人の有効性は示されていない。本研究では日本人ADPKDにおける遺伝および臨床情報の病勢進行への関与の解明を行い、日本人ADPKDの重症度分類を構築する。令和4年度は日本人ADPKD 500症例に対する遺伝子解析を行い、PKD1 truncated mutationが最多であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本研究は研究期間中に順天堂大学医学部附属順天堂医院に通院中のADPKD患者に対して遺伝子解析が完了している。
日本人ADPKD患者の遺伝子変異の種類の解明と、病態進行(腎機能低下速度、腎容積・肝容積増大速度)との関係の解析を行う。日本人ADPKD疾患症例の遺伝子変異の種類を解明する。三次元画像解析システムを用いての腎および肝容積の増大速度測定などから、ADPKDにおける病勢進行への遺伝子変異種類の影響を検討する。さらに遺伝子情報と腎機能など病勢進行との関係から、日本人ADPKD患者の病態進行(腎機能低下速度、腎容積・肝容積増大速度)リスク分類の作成および重症度基準の作成を行う。
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