研究実績の概要 |
常染色体顕性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney DiseaseADPKD)は約4,000人に一人の、最も多い遺伝性腎疾患である。根本治療薬のTolvaptan登場以降、本邦でも認識が進み、積極的な診断治療が行われている。責任遺伝子としてPKD1とPKD2などが以前より認められている。われわれは本邦のADPKD症例436例に対して、遺伝子診断を行った。366例(83.9%)は遺伝子診断が可能であった。PKD1変異群は、PKD2変異群と比べて、腎機能低下速度が早かった(p = 0.066)。さらに、65歳以上症例では、PKD1 truncated変異はPKD1 non-truncated変異と比べて、有意にeGFR低下速度が早かった(ΔeGFR/year:-6.56 vs. -2.16 mL/min/1.73 m2/year,p = 0.049)。また、従来から指摘されている総腎容積(HtTKV<750ml vs. HtTKV≧750ml、p = 0.020)、Mayo分類(class 1A, 1B vs. class 1C, 1D, 1E、p-0.035)も腎機能低下速度に有意に影響する因子であった、多変量解析では、PKD1変異はPKD2変異よりも有意な腎機能低下予測因子であった(odds ratio, 1.81、p=0.020)。
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