研究課題/領域番号 |
22K09485
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
諏佐 崇生 帝京大学, 医学部, 講師 (20445852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前立腺がん / 脱メチル化 / dCas9 |
研究実績の概要 |
前立腺癌の治療としてアンドロゲンシグナリングを阻害する複数の分子標的薬が開発され、内分泌療法として前立腺癌の治療に利用されている。しかし、これらの長期使用は癌を内分泌療法抵抗性へと進展させ問題となる。しかしながら、別の作用原理の内分泌療法によって再度その薬理効果が期待できることから、内分泌療法の選択肢が多いことは前立腺癌患者の寿命を伸ばすメリットとなり、新たな前立腺癌の治療戦略の開発が求められている。一方、申請者はこれまでの研究で、転写因子HOXC9をARの機能を阻害する因子として同定した。ヒト前立腺癌細胞において転写調節因子HOXC9は、アンドロゲン受容体(AR)と相互作用してARの標的DNA制御領域への結合を阻害することを見い出しているが、本因子はアンドロゲン刺激時においてARによるゲノムDNAのメチル化を介した発現抑制により、その阻害作用を発揮できないことを見出している。そこで本研究では、①アンドロゲン依存的なDNAメチル化によるHOXC9遺伝子の転写抑制機構を解明すること、及び、②ゲノム編集技術を利用したHOXC9遺伝子の脱メチル化、および発現誘導系が前立腺癌の増殖を抑制するかを検証する。これらの2点を主な研究目的として研究を展開した。本年度は、アンドロゲンにより生じるDNAメチル化領域を網羅的DNAメチル化解析によって調査し、その該当領域をゲノム編集技術を用いて脱メチル化するために必要なgRNAの設計を主に行った。本研究によってHOXC9発現を基軸とした前立腺がんの新規治療戦略の開発と提唱を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、網羅的DNAメチル化解析でHOXC遺伝子座のアンドロゲン依存的なDNAメチル化領域の同定を行った。明瞭に高メチル化となるCpGアイランドは存在しなかったが、遺伝子座周辺に点在するようにメチル化領域を同定することが出来た。次に、これら領域にSun-Tag法を応用してdCas9と融合したDNA脱メチル化酵素を特定のゲノムDNA領域に導引させるアプローチで、アンドロゲン存在下においてもDNAのメチル化を誘導させないことでHOXC9発現を維持させることを検証している。現在、アンドロゲン依存的なDNAメチル化領域近傍にdCas9を誘導するためのgRNAの設計を検証しており、概ね好成績なgRNAの作製に成功した。現在、ヒト前立腺がん細胞への脱メチル化の構成遺伝子群の遺伝子導入方法の検討や、その評価を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的DNAメチル化解析で同定したHOXC遺伝子座のアンドロゲン依存的なDNAメチル化領域をバイサルファイトシークエンスで確認する。また、dCasを利用した脱メチル化の構成遺伝子群の作用を遺伝子発現解析やバイサルファイトシークエンスによって評価し、アンドロゲン依存的なHOXC9遺伝子の発現抑制の責任を担うメチル化領域の同定を行い、研究を展開していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
gRNAの設計やdCas9発現ベクター等に多くの費用がかかると予想したが、実際はスムーズにgRNAの設計が出来、またdCas9発現ベクターもaddgeneに供与されたものを安価に導入することが出来たため、次年度使用額が生じました。様々な実験にこの費用を使用したいと考えています。
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