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2022 年度 実施状況報告書

Long-read解析を用いた腎細胞がんの構造多型とネオアンチゲンの同定

研究課題

研究課題/領域番号 22K09488
研究機関藤田医科大学

研究代表者

住友 誠  藤田医科大学, 医学部, 教授 (50255535)

研究分担者 佐谷 秀行  藤田医科大学, がん医療研究センター, センター長 (80264282)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード腎細胞癌 / ネオアンチゲン / 構造多型 / long-read解析 / 免疫チェックポイント / チロシンキナーゼ阻害薬 / short-read解析 / copy number gain
研究実績の概要

我々は、従来の次世代シークエンサー(NGS)によるshort-read sequenceでは見逃されている大きな構造多型(Structural variant, SV)などのゲノム異常を新たに検出することで、治療標的の探索が可能になるという仮説のもと、ナノポアシークエンサーによるlong-read解析によってmRCCの薬物治療感受性や予後と相関するマーカーや治療標的としてのネオアンチゲンの同定を行うことを目的として研究を行った。
1.5種のヒトRCC細胞株786O, 769P, ACHN, A498, Caki-1を対象に、GridIONを用いたlong-read解析を施行し、データの信頼性を確認するための準備として、RCC株を対象としてPacBio sequenceを用いた解析との比較検討を行い、データの互換性を検証した。この実験系では、第17番染色体上のBRCA1遺伝子の広範囲な遺伝子欠損を伴うSVを同定したが、本手法の客観性を確認できておらず、現在も検証を継続中である。
2.RCC細胞株を用いたNGSによるshort-read解析を行ったところ、BRCA1遺伝子の欠失を示唆する所見は得られていない。
3.Long-read解析の手法の合理性を確認するには時間を要する可能性があると考え、RCCの臨床検体FFPEを用いたDNA alterationの解析をNGSの手法で施行したところ、第5、7.12番染色体上の遺伝子のcopy number gainがチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に対する抵抗性に関連することが明らかになった。特に、第7番染色体のcopy number gainはmRCC患者のTKI治療後のPFS2の悪化と有意に相関することが示されており、現在論文作成中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

GridIONを用いたlong-read解析については、その結果の客観性を確認するための論文や手引きが普及しておらず、PacBio sequenceを用いた解析との比較検討を行いつつ、データの信憑性を評価する必要があるが、現在、確証のあるデータが得られるまでには至っていない。また、組織FFPEを用いた解析やRCC細胞株を用いた解析には着手できている一方で、患者由来オルガノイドやPDXといった手法により得られる生検体や手術凍結検体を用いてRNAを抽出し、ペプチド同定を行うための準備が開始できていない。

今後の研究の推進方策

1.GridIONを用いたlong-read解析については、共同研究施設でアル東京大学との連携はもちろん、海外とのネットワークを利用して基本データの収集をさらに活発化し、データ解析に利用できるようにした上で、研究をさらに推進する。
2.Short-read解析による薬物感受性研究については一定の結果が得られているので、早急に論文化できるように尽力する。
3.
患者由来オルガノイドやPDXの確率は、学内で他の癌種における樹立報告があるので、これらの手法を参考に樹立を急ぎ、これらのRNA抽出作業を推進する。

次年度使用額が生じた理由

患者由来オルガノイドやPDX作成に要する予算を見込んでいたが、これらの研究に着手するのタイミングが遅れていることから、次年度に繰り越す予算金額が発生してるため。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] Estimating copy number to determine <i>BRCA2</i> deletion status and to expect prognosis in localized prostate cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Nukaya Takuhisa、Sumitomo Makoto、Sugihara Eiji、Takeda Mayu、Nohara Sachio、Tanishima Shigeki、Takenaka Masashi、Zennami Kenji、Takahara Kiyoshi、Shiroki Ryoichi、Saya Hideyuki
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 12 ページ: 8154~8165

    • DOI

      10.1002/cam4.5617

  • [学会発表] Comprehensive analysis of copy number variation and sensitivity to targeted therapy in renal cell carcinoma using in-house cancer gene panel testing2023

    • 著者名/発表者名
      Akihito Takeuchi
    • 学会等名
      The 38th Annual EAU Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] Comprehensive analysis of copy number variation and sensitivity to targeted therapy in renal cell carcinoma using in-house cancer gene panel testing2023

    • 著者名/発表者名
      Akihito Takeuchi
    • 学会等名
      The 2023 AUA Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of copy number and allelic imbalance of BRCA2 by next-generation sequencing to predict prognosis and drug sensitivity in prostate cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Makoto Sumitomo
    • 学会等名
      The 38th Annual EAU Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of copy number and allelic imbalance of BRCA2 by next-generation sequencing to predict prognosis and drug sensitivity in prostate cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Makoto Sumitomo
    • 学会等名
      The 2023 AUA Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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