研究課題/領域番号 |
22K09490
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
橘田 岳也 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40374441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 排尿障害 / 排便障害 |
研究実績の概要 |
PD(パーキンソン病)は、現在の医学では完治が望めない疾患である。そのため、QOLは極めて重要となる。近年、膀胱と腸管には、神経を介した機能的な連携があることが示されている。そのため“排泄障害”として、排尿障害と排便障害の両方を治療することは、診療科を超えて連携されるべきと信じている。運動症状の治療が中心となるために、その治療によってどのような自律神経の機能変化が起こるのかを確認すれば、臨床の現場で有用であると考えられるため、本研究を行っている。実臨床において、PD患者への治療薬は、大きく4種類に分類される(①:ドーパミン補充薬、②:ドーパミン受容体刺激薬、③:モノアミン酸化酵素阻害薬、④:ドーパミン脱炭素酵素阻害薬)。 排尿機能評価として、現在は、①ドーパミン補充薬②ドーパミン受容体刺激薬③モノアミン酸化酵素 B阻害剤の投与を行った段階である。②ドーパミン受容体刺激薬は、実臨床で使用されている薬剤を選択して実験を施行している。現在結果を得ているのは、複数ある中のロチゴチンという、ドーパミン受容体の中でもサブタイプを広く刺激する薬剤である。こちらの結果については、すでにSci Rep. 2022 Mar 16;12(1):4540にMechanisms of D1/D2-like dopaminergic agonist, rotigotine, on lower urinary tract function in rat model of Parkinson's diseaseとして報告している。また、現在は③モノアミン酸化酵素 B阻害剤として、ラサギリンを選択し排尿状態を確認している状況である。 薬剤投与実験が、本実験系での主要目的であるために、順調に進行しているが、排便障害に対する効果について進捗がやや遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの我々の検討で自律神経機能は、覚醒下での実験が必要であることを報告してきた(Kitta, 2017: 実験モデルの利点・欠点についての総説)。代謝ケージによる排泄機能評価によって、PDラットの排尿反射の亢進、便量の減少を確認してきたが、抗パーキンソン病薬の投与による作用の中でも、排便機能については、明確な変化が未だ確認できていない。本実験系で用いられる薬剤による排便機能を確認する方法として、便量の測定を行うが、トータルの量に加えて、経時的な排便回数の確認を行うために、現時点では代謝ケージにおける便量の経時的な変化を詳細に確認している(全体量に加えて)。そのため、当初予定していたペースでの結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病モデルにおける、排泄機能への抗パーキンソン病薬の作用を継続して検討していく。排尿機能に対しては、おおむね予定通りの進捗が得られている。今後は、排便機能への影響を進めるために、先に述べたより詳細な排便機能評価を中心に継続して行っていく予定である。 また、学会発表、論文発表については③モノアミン酸化酵素 B阻害剤の投与については排尿障害への作用を中心に行っていく(論文は現在執筆中である)。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍であることから、学会参加を行えなかった点が上げられる。今年度以降は学会参加が可能となると考えられており、学会費として計上している。さらに実験に関する物品費についても次年度は支出されることになる予定である。
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