研究課題/領域番号 |
22K09491
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根来 宏光 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80708595)
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研究分担者 |
礒田 博子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00375429)
佐々木 一憲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (60709715)
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 概日時計 / 放射線 / 膀胱 |
研究実績の概要 |
これまで局所限局性前立腺癌に対する陽子線治療の臨床研究において、照射時刻によって排尿障害の程度が異なるという時刻依存性の関連を見出していた。その結果から、膀胱機能の日内変動に関わる概日時計機構が放射線治療による排尿症状の日内差に関与するという着想に至り、本研究では放射線照射時刻の違いによる膀胱の放射線反応性や排尿障害の変化を、膀胱時計遺伝子やその制御下で日内変動する分子を軸に探求することで、放射線照射による排尿障害を低減するメカニズムを解明することである。ヒト不死化尿路上皮細胞と尿路上皮特異的にターゲット遺伝子をKO可能なマウスを用いて、①In vivo生体実験では、マウスの膀胱に異なった時刻で放射線を照射し、その照射時刻により、炎症性変化や排尿機能にどのような影響が出るか ②In vitro細胞実験では、ヒト不死化尿路上皮培養細胞を血清刺激(Serum shock)にて概日時計機構を同調させ、放射線の照射時刻の差により尿路上皮の遺伝子発現や機能がどのように変化するかを検討し、概日時計機構と放射線感受性の関連を明らかにすることを目的としている。さらに、主要時計遺伝子Bmal1ノックダウン細胞を用いて、放射線照射時刻による反応性の差への影響とともに、尿路上皮のBmal1の放射線感受性への役割について探索する。時計遺伝子や日内変動因子の放射線障害保護のメカニズムの解明、膀胱時計に作用する物質の放射線保護効果の検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitro実験では、ヒト不死化尿路上皮細胞を血清刺激(Serum shock)にて概日時計機構を同調させ、放射線の照射時刻の差により尿路上皮の炎症性サイトカインをメインに探索している。 放射線照射量や評価時間をスクリーニングし、至適実験系の確立と再現性の確認を行った。尿路上皮細胞の放射線照射による炎症性遺伝子の変動を、照射量、照射時刻、照射後経過時間につき至適条件を設定した。尿路上皮癌細胞との変動の差も比較し設定条件として考慮した。さらにBmal1knock down細胞株において現炎症性遺伝子の変化を、コントロールと比べてどの程度変化があるか検討している。 In vivo生体実験であるマウスの膀胱に異なった時刻で放射線を照射し、炎症性変化や排尿機能にどのような影響が出るかについて、膀胱末梢時計の調律因子を同定し、膀胱末梢時計が中枢時計と異なる位相となるモデルを確立した。現在マウスの膀胱を固定し、周囲の組織細胞に極力影響を与えず照射するための装置を作製し、その装置を用いて、至適照射量の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
尿路上皮細胞において放射線感受性に影響を与えるうる因子について、Bmal1自体の変動の影響について引き続き検討を進める。さらに膀胱で非活動期にその発現が低下し機能的膀胱容量の増大に関与することに加え、放射線ダメージの伝搬にも重要な役割を担っていることが示唆されているCx43について、その放射線感受性についての影響の検討も確立した実験系を用いて開始する。 マウスの実験については、膀胱への照射実験系を確立し、膀胱の放射線照射に対する影響の概要を把握する。その上で、すでに作製が完了している尿路上皮特異的Bmal1KOマウス、尿路上皮特異的Cx43KOマウスを用いて、膀胱の放射線感受性について、放射線感受性についてその程度の差を、遺伝子レベル、タンパクレベル、形態レベル、機能レベルを評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、予定していた学会参加がWEB対応となり旅費の使用ができなかったため。 令和5年度は5類へと移行されたため現地参加が可能となりそちらで使用する予定である。
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