研究課題/領域番号 |
22K09495
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
泉 浩二 金沢大学, 附属病院, 講師 (80646787)
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研究分担者 |
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (50248580)
岩本 大旭 金沢大学, 附属病院, 助教 (90847245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / ダブルネガティブ去勢抵抗性 / KRAS / FGF |
研究実績の概要 |
前立腺癌細胞はアンドロゲン依存性が強く、アンドロゲン受容体(androgen receptor: AR)シグナルを抑制する治療が行われる。近年、ARを強力に抑制しtaxane系抗癌剤を使用するなど、濃厚な治療を行うことにより予後は改善した。しかし、多くの症例は耐性化しその一部でDNPC (double negative castration-resistant prostate cancer)という病態を誘導することが明らかとなった。包括的がんゲノムプロファイリングからDNPC患者ではKRASが活性化されている可能性が示唆され、KRASをドライバーとしてDNPCが誘導されるという仮説を立てた。各種ヒト前立腺細胞株にてRT-PCRを行い、ヒト前立腺癌細胞株DU145ではKRASが高発現していることを明らかにした。RNA干渉によるKRASノックダウン下のDU145では増殖および遊走が抑制されたが、LNCaPでは抑制されなかった。DU145では野生型KRASとubiquitin-conjugating enzyme UBE2L3とKRASの融合蛋白(UBE2L3-KRAS)の高発現およびKRAS下流経路の活性化を確認した。KRAS上流のEFGおよびFGFにより、DU145以外の前立腺癌細胞株においてもKRAS下流経路の遺伝子発現が強まることを確認した。KRAS抑制下ではFGFおよびEGF投与時においてもKRAS下流の1つであるERKリン酸化は抑制された。これらの結果から、KRAS-ERKシグナル伝達が去勢抵抗性前立腺癌の進展に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の予定を100%とした場合、60%程度と考えられる。DNPCとして最適なモデルであるDU145でKRASが活性化し、他の前立腺癌細胞株ではほとんど表現型に影響がないことが確認された。予定されていた実験は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
KRAS阻害薬の使用による、DU145とそれ以外の前立腺癌細胞株の変化を見る。DU145を移植したマウスモデルでKRAS阻害薬の効果を見る。KRAS上下流についてより正確な変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の細胞株ではまだ実験が行われておらず、また、予定していた抗体も購入していないため残額が生じている。必要な抗体とマウス実験のために使用予定である。
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