研究課題/領域番号 |
22K09510
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
福原 浩 杏林大学, 医学部, 教授 (20292948)
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研究分担者 |
北村 盾二 杏林大学, 医学部, 助教 (90712125)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 / ウイルス療法 / 精巣癌 |
研究実績の概要 |
がん治療用ウイルスを用いたウイルス療法は、悪性腫瘍に対する新規治療法であり、国内外で難治がんに対する臨床開発が進んでいる。我々が使用しているがん治療用ウイルスG47Δ(デルタ)は、2021年に悪性神経膠腫に対して製造販売承認された。研究代表者自身も、これまでG47Δの前立腺癌の臨床開発を進めてきた。 一方、治療抵抗性精巣腫瘍は、きわめて難治であり、革新的な治療法の開発が待たれているがんの一つである。最近、我々は、腫瘍特異的なプロモータにてウイルス遺伝子を制御することによって、がん特異性を高める次世代のウイルス作製に成功した。G47Δは、多くの固形癌で抗腫瘍効果を認めることは報告されているが、精巣腫瘍での報告はなく、また、この新規ウイルスが精巣腫瘍で抗腫瘍効果を高めるかどうかは確認されていない。最近の我々の研究によって、プロモータ制御型ウイルスを使用することによって、進行が緩徐ながんでも抗腫瘍効果が減弱されないことがわかった。新規ウイルスT-hTERTは、G47Δの複製能が減弱する進行が緩徐ながんにおいても、腫瘍特異的hTERTプロモータでICP6遺伝子を発現させることによって、十分に複製が可能となり、既存のG47Δと比較して有意な抗腫瘍効果を示した。 まず、当該年度は、非セミノーマ精巣腫瘍(NSGCT)においてG47Δが抗腫瘍効果を示すかどうか検証した。ヒトNSGCT細胞のNTERA-2、Tera-1およびマウスNSGCT細胞のF9にて、cytotoxicityアッセイを行い、殺細胞効果を検討があることを確認した。また、既に、CDDP濃度を少しずつ上昇させ、CDDP暴露を半年間行って、CDDP耐性のヒトNSGCT細胞NTERA-2RにてG47Δが抗腫瘍効果を示すことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規の腫瘍特異的ウイルスT-hTERTでの研究には至っていないが、既存のウイルスG47Δが精巣腫瘍モデルで抗腫瘍効果を示すことを確認したため。
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今後の研究の推進方策 |
新規の腫瘍特異的ウイルスT-hTERTがin vitroで抗腫瘍効果を持つかどうか検討する。G47Δと同様、ヒトNSGCT細胞のNTERA-2、Tera-1、ITO-2およびマウスNSGCT細胞のF9にて、MTTアッセイ、cytotoxicityアッセイを行い、殺細胞効果を検討する。また、CDDP耐性株でも検討を行う。次に、NTERA-2およびF9細胞に対して、ヌードマウスの皮下腫瘍モデルでのin vivo腫瘍抑制効果を検討する。さらに、F9細胞と同系統の129マウスでの皮下腫瘍モデルにて、免疫がある状態での腫瘍抑制効果を検討する。また、宿主の免疫賦活状況を評価し、機序の解明も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規ウイルスでの検討を行うための再実験が必要となり次年度に繰り越す状況になった。翌年度分と合わせて、再実験を行う。そのための物品費に使用する。
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