研究実績の概要 |
初発膀胱癌53例に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)検体を用いて In-houseで包括的がんゲノム検査(164遺伝子の変異検索とコピーナンバーヴァリアント、およびtumor mutational burdenとマイクロサテライト不安定性の定量とHDR遺伝子変異のスコアリングが可能)を行った。 遺伝子変異頻度はFGFR3遺伝子の変異が最も多くPIK3CA,KDM6A,TP53,CREBBP,BAP1,ERBB2,ARID1Aの順に変異が指摘され、この結果は諸家の報告と類似していた。 また、病理組織学的所見の解析において、non-invasive UC(pTa)の群ではinvasive UC (pT1以上)群と比較して有意にFGFR3変異 (58% vs 25%, p=0.025)とPIK3CA (44% vs 17%, P=0.04)の変異が多いことが確認された。さらに、FGFR3変異はhigh grade群 (76.9%) に比べlowgrade群 (32.5%) で有意に頻度が高いことが確認された (p=0.009)。 現在非浸潤癌における遺伝子変異の傾向が明らかになってきているが、今後は筋層浸潤癌での評価を行うため、症例をさらに蓄積しているとともに、BCG膀胱内注入療法や膀胱全摘除術の術前補助化学療法などの治療に対する反応性、予後について追跡しており、遺伝子変異やコピーナンバーバリアントと治療感受性の関連について検討予定である。
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