研究課題/領域番号 |
22K09532
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
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研究分担者 |
安藤 忠助 大分大学, 医学部, 准教授 (20433047)
澁谷 忠正 大分大学, 医学部, 助教 (20601149)
篠原 麻由香 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30774666)
秦 聡孝 大分大学, 医学部, 教授 (60404381)
羽田 真郎 大分大学, 医学部, 助教 (90773838)
濱松 典子 大分大学, 医学部, 特任助教 (10943996)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外尿道括約筋 / マイトファジー / 尿失禁 / 横紋筋幹細胞 |
研究実績の概要 |
外尿道括約筋は膜様部尿道を取り囲む横紋筋で、尿禁制に寄与しているが加齢とともに脆弱化し、尿失禁の一因となる。本研究では、まず透過型電子顕微鏡によるヒト外尿道括約筋の異常ミトコンドリアの蓄積を検討し、異常ミトコンドリアの除去機構であるマイトファジーについて検討を行った。インフォームド・コンセントの得られた膀胱全摘症例より、手術時に外尿道括約筋組織と腹直筋組織を採取し、電子顕微鏡標本作成及び分子学実験用に処理を行った。組織学的実験は両組織を2%グルタールアルデヒド固定液で保存し電子顕微鏡ブロックを作成した。また分子生物学的実験用に、採取した組織をディープ・フリーザーにて保存した。組織学的実験はこれまでに16例の電子顕微鏡標本を作製した。 これまでに10例について外尿道括約筋組織と腹直筋組織の透過型電子顕微鏡写真が得られており、外尿道括約筋組織は腹直筋組織と比べて、筋束に隙間が多く、ミトコンドリア数の減少や空洞化・膨化を認め異常ミトコンドリアの蓄積を認めた。また筋線維別に外尿道括約筋におけるミトコンドリア異常についても観察された。 また細胞学実験では膀胱全摘症例より、手術時に採取した外尿道括約筋組織の微量組織を細切し、コラゲナーゼ処理後に初代培養を行った。分離培養した外尿道括約筋幹細胞にCSII-CMV-CDK4R24C、CSII-CMV-cyclin D1 及びCSII-CMV-TERTを遺伝子導入した。さらに横紋筋幹細胞マーカーであるCD56(NCAM)に対する蛍光抗体を用いてフローサイトメーターによって横紋筋幹細胞を分離し長寿化細胞株を樹立した。 これまでに8例の外尿道括約筋組織の初代培養を行っており、3例の長寿化細胞株を樹立した。これらの細胞株について分化・増殖実験を行い横紋筋に分化することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R3年度から大学による改修工事が行われており,実験実習機器センターの電子顕微鏡実験室が閉鎖となったため実施可能な実験が制限されて計画に遅れが生じた。R5年度より電子顕微鏡観察実験は再開され、これまでに15例の電子顕微鏡写真の作成を行った。 現在10例について電子顕微鏡写真の画像解析実験を行っており、筋束内の筋線維と線維組織の面積、膨化や分裂した異常ミトコンドリアを確認している。 R6年度は、電子顕微鏡観察実験のデータ解析と外尿道括約筋組織と腹直筋組織におけるマイトファジー因子の発現量をRT-PCRで確認し、ミトコンドリア異常の関連遺伝子の同定を行う予定であり、さらに細胞実験へつなげたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、膀胱全摘症例の外尿道括約筋、腹直筋組織を採取し電子顕微鏡標本の作製及び透過型電子顕微鏡にて観察及びデジタルカメラで画像撮影を行い、ImageJ software (NIH)を用いて筋束内の筋線維と線維組織の面積、膨化や分裂した異常ミトコンドリアについて検討する。遅筋線維(Type I)は豊富なミトコンドリアと幅広いZ-diskが特徴的で、速筋線維(Type II)はミトコンドリアが乏しく、Z-diskの幅は狭い。これらの特徴から、筋線維別に外尿道括約筋におけるミトコンドリア異常について検討し、加齢や性差の影響についても明らかにする。 また、得られた外尿道括約筋組織と腹直筋組織からRNAを抽出して、マイトファジー因子の発現量をRT-PCRで確認し、ミトコンドリア異常の関連遺伝子の同定を行う。 さらに、ヒト外尿道括約筋幹細胞の不死化細胞株を用いて増殖培地と分化培地で培養して経時的にTotal RNAを抽出する。Human Autophagy Sign Array (96x2) typeF(フナコシ社)を用いてオートファジー関連遺伝子の発現量をqRT-PCRにて測定する。蛋白抽出したサンプルでは、Western blotting法にてオートファジー関連蛋白の発現を検討する。 さらに長寿化ヒト外尿道括約筋細胞に、オートファジー活性化剤(ラパマイシンやハイドロキシクロロキン等)を投与し、autophagy flux assayによりオートファジー活性を測定する。分化培地での検討では、オートファジー誘導後にPax-7やNCAMの発現をqRT-PCRにて定量し、横紋筋幹細胞の静止期への移行について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度から大学による改修工事に伴い、当講座の実験室の立ち上げ時期の遅延及び共通の実験実習機器センターの機器部門が制限されたことによる電子顕微鏡撮影が遅れて、そのために繰越予算が生じた。来年度よりこれまでに撮影した電子顕微鏡によるミトコンドリア異常の解析実験を行う予定である。 また、オートファジー誘導による外尿道括約筋前駆細胞の分化におけるミトコンドリア異常同定実験の遺伝子解析試薬を購入し、細胞培養試薬と外尿道括約筋組織及び腹直筋組織の染色試薬の費用に充てる予定である。
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