研究課題/領域番号 |
22K09535
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
花輪 智子 杏林大学, 医学部, 教授 (80255405)
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研究分担者 |
松田 剛明 杏林大学, 医学部, 教授 (80365204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ファージ療法 / ファージ耐性菌 / 尿路感染症 / 尿路病原性大腸菌 / ESBL産生大腸菌 / 遺伝型 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
細菌がファージに対して耐性化する際、その対価として病原性の低下などのコスト(代償)を払う”trade-off”という現象が知られている。本研究では、多剤耐性菌感染症に対するファージ療法の開発を目的としており、中でもファージに耐性化してもtrade-offにより治療を成功に導くことのできるファージを用いた多剤耐性大腸菌による尿路感染症に対するファージ療法の開発を目指している。 これまで杏林大学医学部付属病院の救急科および総合診療科の患者血液から多剤耐性菌の一つであるESBL産生大腸菌60株を用いて遺伝型、病原遺伝子の保有等を調べた。その結果、分離された患者の8割は尿路感染症であり、分離大腸菌は尿路病原性大腸菌(UPEC)に多いphylogroup B2、ST131の遺伝型を示す菌が優勢であった。また、これらは病原遺伝子のうちP線毛、鉄利用タンパク、毒素など、UPECに多く検出される遺伝子を保有していた。さらに機能の不明であるがUPECに高頻度で検出されるuspやmalXホモログ(PAI)の保有率が高かった。 都市部下水流入水はファージを単離するための素材として広く利用されている。当研究チームでも昨年までに合計190種のファージを単離している。現在までにファージの保存中の安定性、複製(増殖)のし易さ、臨床分離株を用いて部分的に宿主域を調べた結果などから18種のファージを選出した。電子顕微鏡による形態の観察とゲノム解析を進めており、その結果の一部から、宿主域の類似性から類似しているファージ分類した。これらのファージ耐性菌を作成、その性状を解析した結果、レボフロキサシンに対する感受性化およびバイオフィルム形成能の低下を示す変異株を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までに大腸菌の解析および収集したファージの感受性解析を終了している。これらの結果から大腸菌とファージのクラスタリング解析を行い、分類した。その結果を元にファージ耐性菌を作成するファージと大腸菌の組み合わせを決定し、ファージ耐性菌を作出し、現在その性状解析の一部を終了している。
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今後の研究の推進方策 |
ファージ耐性菌の中で、治療上重要と位置付けられているレボフロキサシンの感受性化、および、バイオフィルム形成能の低下したファージと株の組み合わせを得ている。これらの耐性株の大腸菌の変異部位を検出する。また、他のファージ耐性株の性状解析を進め、さらにトレードオフについて調査する。さらに、マウスの尿路感染モデルにより、病原性への影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度の切り替えのため、購入物品が期限内に納入できない恐れがあったことから購入時期を次年度に延期した。
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