研究課題/領域番号 |
22K09538
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
前川 眞見子 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (20181571)
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研究分担者 |
池田 やよい 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00202903)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コンディショナルノックアウトマウス / SF-1 / Nr5a1 / ミュラー管遺存症候群 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、SF-1(Steroidogenic Factor 1;別名Nr5a1; Ad4BP)のコンディショナルノックアウト(cKO)マウス(Sox9:Cre; SF-1flox/flox)のオスに見られる生殖器異常について解析を行なった。cKOオスは、オスの生殖器である精管、精巣上体に加え、メスの生殖器である子宮や腟が存在する。cKOオスの内性器は多量の脂肪に包まれ、腹腔下部に存在した。cKOオスマウスを4%PFAで灌流固定後、内性器を取り出してパラフィン切片を作成し、組織学的に観察した。cKOオスに存在する腟・子宮は、個体差が見られたものの、全般的に上皮や筋層の発達が対照メスに比べてかなり悪かった。例外的にcKOオスで腟の発達した個体が見られ、腟の内腔には剥離した上皮の角質層が充満していた。この個体では腟口が閉鎖していたと考えられる。cKOオスの生殖腺は、対照メスの卵巣に比べてかなり小さかった。オスのマーカーであるSox9とメスのマーカーであるFoxl2を用いてcKOオスの生殖腺を免疫蛍光二重染色したところ、Sox9陽性細胞とFoxl2陽性細胞が同一の生殖腺に存在した。また各陽性細胞の数や分布は個体ごとに異なっていた。以上の結果から、cKOオスではSF-1がある程度発現し、その量の違いが個体の表現型の差異をもたらすと推測された。SF-1 cKOオスの多様な表現型は、性疾患モデルマウスとして有用であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
cKOおよびKOマウスの作成・維持について困難な点があり、実験に必要な数を得るために予想より時間がかかり、やや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
腟、子宮の発達に関係するとされるestrogen receptor αなど、cKOオスの腟、子宮についてその発現を調べる。また、生殖器分化におけるSF-1の役割を考察するため、コンベンショナルKOマウスとの比較、解析を続ける。
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