研究課題/領域番号 |
22K09557
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
飯田 泰志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90385287)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 明細胞癌 / 血管新生阻害剤 / PARP阻害剤 |
研究実績の概要 |
①卵巣明細胞癌細胞株であるOVISE細胞を用いて、血管新生阻害剤と併用することでPARP阻害剤の感受性が高まることを確認した。 ②OVISE細胞を用いて、血管新生阻害剤のBevacizumabを投与すると相同組み換え修復の活性が低下することをAssay for Site-specific Homologous Recombination Activity (ASHRA)を用いて示した。 ③OVISE細胞に対してDNA損傷(放射線照射)を加えた後にBevacizumabを投与すると相同組み換え修復に関与する遺伝子であるCRY1の発現が有意に低下することをRNA sequenceで確認した。さらにsiRNAによりCRY1の発現を抑制すると相同組み換え修復活性が低下し、さらにBevacizumabにより抑制されたCRY1の発現を遺伝子導入により回復させると相同組み換え活性が回復することを示した。 ④CRY1はPhosphoinositide 3-kinase (PI3K)/AKT経路の下流遺伝子と報告されている。BevacizumabはVascular Endothelial Growth Factor (VEGF)/ VEGF receptor (VEGFR)/PI3K経路を介してCRY1の発現を抑制していることを示した。 ⑤CRY1阻害剤のKS-15と併用することでPARP阻害剤の感受性が高まることを示しBevacizumabはVEGF/VEGFR/PI3K経路を介してCRY1の発現を抑制し、PARP阻害剤の感受性を高めているという結論に達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の研究実績をまとめ、論文を作成した。その後、校正、投稿を行い、さらに出版社より要求された追加の実験を行った。最終的に論文はBevacizumab increases the sensitivity of olaparib to homologous recombination-proficient ovarian cancer by suppressing CRY1 via PI3K/AKT pathwayのタイトルでFrontier Oncol 2024. doi:10.3389/fonc.2024.1302850.に出版された。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、マウスを用いた腫瘍モデル実験を検討している。 ヌードマウスの腹腔内にOVISE細胞を移植し、腫瘍モデルを作成する。 腫瘍モデルに対するolaparib単剤、olaparib+bevacizumab併用、olaparib+CRY1阻害剤KS-15併用の効果を比較する。 実験系が確立したら腹腔内に移植する細胞を変えて同様の実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文校正、投稿費などが見積よりも安く抑えることが出来たため。
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